知っておきたい側弯症の病態と治療についてを解説!

側弯症ってどんな状態なんだろう? 側弯症ってどんな治療があるの? 側弯症って治るの?

側弯症は、軽度の場合もありますが、少数では退行性の場合もあり、年をとるにつれて悪化 するなんて場合もあります。1ヒップやウエスト、肩が不均一2背中の痛み3立っている時 に傾いてしまうなど心当たりのある方もいるのでは?

今回の記事では、「側弯症」の病態と治療について解説していきます。

側弯症の病態

側弯症はいったいどのような病気なのか?

側弯症とは、背骨を前から見た場合に左右に曲がっている状態を側弯症といいます。

背骨(脊柱)の大きな役割は文字通り、柱として体を支える役割をもっています。 そんな背骨(脊柱)は全部で 26 個の骨で成り立っています。それぞれ頸椎 7 個(首の骨)、 胸椎 12 個(胸の骨)、腰椎 5 個(腰の骨)、仙椎 1 個、尾椎 1 個から成り立ちます。

側弯症であるかどうかは、上下で最も傾いている背骨同士がなす角度(コブ角)で判断しま す。このコブ角が 10 度以上あるものが側弯症といいます。

側弯症の種類

側弯症は機能性側弯と構築性側弯に大別され、またその原因が明らかなものから、今なお不 明なものがあります。

機能性側弯症

疼痛、姿勢、下肢長差などの原因による一時的な側弯状態で、弯曲は軽度で捻れを伴わず、 その原因を取り除くことにより側弯は消失する。

構築性側弯症

脊椎のねじれを伴った脊柱の側方への弯曲であり、もとの正常の状態に戻らなくなった状 態。この中にはいまだ原因がわかっていない側弯症と、原因である病気がわかっている側弯 症があります。

1)突発性側弯症
脊柱側弯症のうち 80%前後を占めますが、その原因はいまだ不明です。家族内発生が多い ことから遺伝の関与が考えられますが、いまだ特定の遺伝子は明らかになっておりません。 発症年齢により乳幼児期側弯症(3 歳以前に発症)、学童期側弯症(4~9 歳に発症)、思春期 側弯症(10 歳以降に発症)にわけられ、それぞれに特徴があります。乳幼児期側弯症には 自然治癒する傾向にあるものと、強い進行を有するものがあります。最も高率にみられる思 春期側弯症は圧倒的に女子に多く、側弯の型も共通性があります。 特発性側弯症が進行するかどうかを予測することは難しい点もありますが、年齢や弯曲の 型、程度などが参考になります。一般には、年齢が若く、女子では初潮前や骨の成熟が未熟 な例は進行しやすいと考えられています。

2)先天性側弯症
背骨などに生まれつきの形の異常があるために、成長期に左右の成長に差が出ることから 側弯症に進展します。泌尿器系や心臓などの他の多臓器にわたって生まれつきの異常があ る場合が少なくありません。

3)神経原性側弯症
神経が障害されたことによって、背中や横腹に筋肉が麻痺したために脊柱を支える力が失 われ、曲がってきたものです。

4)筋原性側弯症
筋肉が萎縮する病気で代表される筋ジストロフィーなどの筋肉の病気による側弯症です。

5)間葉系疾患による側弯症
マルファン症候群、エーラス・ダンロス症候群などの血管や結合組織の生まれつきの病気に よる側弯症です。

6)その他の側弯症
小児期の病気や外傷後の脊髄麻痺後や放射線治療後、やけどなどのケロイド、くる病などの 代謝疾患などの様々な原因により側弯症が起こります。

側弯症の診断


側弯症を正確に診断するためには、最終的には医師による X 線(レントゲン)検査が必要 です。 しかし、誰でも簡単な方法で側弯症かもと疑う事が出来る簡易検査の方法があります。

簡易検査の方法


1)立位検査
気をつけの姿勢をとり、後ろから観察する。 1肩の高さに左右差があるかどうか。 2肩甲骨の高さと突出の程度に左右差があるかどうか。 3ウエストライン(腰の脇線)が左右非対称であるかどうか。

2)前屈検査
両方の手のひらを合わせ、肩の力を抜いて両腕を自然に垂らし、膝を伸ばしたままでゆっく りおじぎをする。肋骨や腰に左右のいずれかに盛り上がりがあり、左右の高さに差があるか どうかを確認する。

側弯症が疑われたら、レントゲン検査が必要となります。 レントゲン検査の結果で機能性側弯や治療を必要としない程度の構築性側弯症と診断され ても、それが進行するかどうか十分注意し、経過観察する必要があります。

側弯症の症状

側弯症が身体に及ぼす影響は、側弯症の程度や年齢などによって異なりますが、以下のような症状が出現することがあります。

1 外見上の以上

片方の背部や腰部の突出や肩の高さの左右差、ウエストラインの左右非対称性、肋骨の突出、乳房の左右差や円背、凹背など。

2 心理的負担、ストレス

側弯変形による姿勢不良などが大きな心理的ストレスになる場合もある。

3 痛み

側弯症では変形のある背部や腰部に痛みやコリが出現することがある。しかし、側弯症は手術が必要なコブ角(40~50°以上)になっても、痛みなどの症状が出るのは稀です。

4 神経症状

先天性側弯・後弯症や神経線維腫症などの局所で鋭角に曲がったタイプの変形では変形が大きい場合、脊髄が障害され麻痺を生じる可能性があります。

5 呼吸器症状

進行すると、肺や心臓を包んでいる胸郭が変形し、肺活量の減少や息切れを感じるようになります。

側弯症の治療について

医学的根拠のある有効な治療法は、装具治療と手術治療の2つ。

経過観察

成長期に側弯が 25°未満のコブ角の場合は、定期的な X 線検査と整形外科医による診察を受けることが大切です。進行した場合は装具治療に移行していきます。

装具治療

一般的に側弯が 20°~45°程度のコブ角が中等度の側弯症の場合は、進行防止のために装具治療を行います。装着時間が長いほど効果があるといわれています。

成長が止まり、骨が成熟して側弯の進行もなければ、徐々に装具装着時間を減らし、装具治療を終了します。

手術治療

高度の側弯症を矯正し進行を防止できる唯一の方法。リスクをゼロにすることはできませんが、現在では適切な予防や対処も行われ、手術治療の安全性が向上しています。

まとめ

側弯症は子供から大人まで発症する病気。痛みなどの症状はないことが多く、外見上の変化 で気付くことが多いです。症状は重症化してから出ることが多いので、少しでも早い段階で 発見することが重要です。簡易検査などを実施し、あやしいかもと思った場合などは、かか りつけの医療機関に相談してみても良いかもしれませんね。