知らないと悪化する!肉離れの病態と治療について

肉離れってどんな状態なんだろう? 肉離れってなるの?

スポーツをする方でよく耳にすることがある肉離れ。走ったり、飛んだりと多くの場で見られます。この肉離れを理解して適切に治療や予防を行うことで痛みの軽減、消失につながります。

今回の記事では肉離れの病態と治療について解説していきたいとおもいます。

肉離れの病態について

スポーツによるものが多く、中学生から高校生がそして筋肉が硬いと起こりやすくなるため運動不足になりがちな20 代以降もなることが多いです。

一番多い肉離れがふくらはぎの腓腹筋という筋肉の内側です。ついで、太ももの裏のハムストリングスという筋肉、そして、太ももの前の大腿四頭筋という筋肉です。また、内転筋群といわれる太ももの内側の筋肉が肉離れすることもあります。

これらはどれも筋肉の部分断裂、つまり筋肉が部分的に切れる状態です。また、ごく稀に完全に断裂してしまうケース、腕の筋肉や腹筋も肉離れするケースがあります。

肉離れはどのように切れるのか? 筋肉が伸ばされながら力が入ることで筋力に負けて肉離れが起きます。例えば、急にジャンプする、急に走るなど急に力を使うときに起こることが一般的です。

肉離れはどのような人がなりやすいのか?基本的には前で説明したようにスポーツをやっている中学生から高校生が多いですがそのほかの原因として

  • 筋力低下
  • 筋肉のアンバランス(どちらかの筋肉が硬いやどちらかの筋肉が強いなど)
  • 筋肉の疲労
  • 柔軟性(筋肉の柔らかさ)の低下
  • 水分不足

が原因として挙げられます。

肉離れはどの部分が切れることが多いのか?前の説明でお話しした通りふくらはぎの筋肉(腓腹筋)の内側が肉離れすることが多いのですが、場所としては真ん中からやや内側でふくらはぎの上1/3 の部分が切れて痛みが伴います。

肉離れの診断について肉離れの診断には以下の方法を使います

  • 問診
  • 身体所見
  • 画像診断

です。

問診に関してはいつから痛いのか、何をしたら痛いのかなど、発症時期や痛みの程度、痛みが出る動作を確認し ます。

身体所見は押して痛む場所があるか、どの程度動かすと痛いのかなどを医師が動かし確認します。また、この時に重症度を判断します。

軽症:アキレス腱伸ばしのようにストレッチをしても痛みが少ない。

中等症:アキレス腱伸ばしのようなストレッチをして、膝を曲げていれば痛みが少ない。

重症:アキレス腱伸ばしのようなストレッチをして膝を曲げてもとても痛い。 立った状態でも座った状態でもつま先立ちができない

軽症:上向き(背臥位)に寝てもらい 70°程度まで上げると痛みが出る。

中等症:上向き(背臥位)に寝てもらい 70°~30°程度の間で痛みが出る。

重症:上向き(背臥位)に寝てもらい 0°~30°程度の間で痛みが出る。

軽症:下向き(伏臥位)に寝てもらい 90°程度まで膝を曲げると痛い。

中等症:下向き(伏臥位)に寝てもらい 90°~45°程度まで膝を曲げると痛い。

重症:下向き(伏臥位)に寝てもらい 0°から 45°程度まで膝を曲げると痛い。

画像診断はエコーや MRI を用いて判断します。 エコーでは、筋肉のつながりが不鮮明になったり出血がある場合は黒く映ったりします。 MRI では、断裂部分が白く映ります これらの所見を組み合わせ診断を行います。

肉離れの治療について

治療については前の説明であった重症度によって判断します。基本的にはリハビリで治療を行っていきますが、手術になる方も稀にいます。

軽症:治療に期間としては1~2週間程度です。
基本的にはストレッチや筋力トレーニングを行います。痛みが少ないことが多いこの時期では特に制限がされることは少ないです。

中等症:治療の期間としては 4 週間~8 週間程度です。
基本的に最初は後で説明するRICE処置を行いながらマッサージを行い、徐々に痛みが少なくなってきたらストレッチや筋力トレーニングを行います。
また、初期は運動制限がかかることが多いです。

重症:治療の期間としては 12 週間~24 週間程度です。
基本的に安静です。最初は後で説明するRICE 処置を行い、動かさずにリハビリでは患部のほかのストレッチや 筋力トレーニングを行い、痛みが少なくなってきたらマッサージのような筋肉をほぐすようなことを行い、痛みがなくなってきたら、患部のストレッチ、筋力強化を行います。 また、この時期は必ず運動禁止となります。

どの時期でも医師とリハビリのスタッフが連携しその方にあったリハビリを行います。

また、重症度に問わず RICE 処置が必要となります。

RICE 処置とは

  • R:Rest(安静)
  • I:Ice(冷却)
  • C:Compression(圧迫)
  • E:Elevation(挙上)

と頭文字をとった処置となります。肉離れをしたあとすぐはこの処置を行い、炎症を抑えていくことが大事です。
また、48 時間~72時間経過後は接触的に患部を温めることで血液の循環を良くし、肉離れをした組織の回復を促します。

肉離れの予防について

肉離れの予防にはどのような人になりやすいかの所で説明した状態にならないようにすることです。

具体的には

  • 運動時のウォーミングアップ、クールダウンを普段から行う
  • 運動前と後だけでなく普段からストレッチを行う。
  • お風呂でリラックスし、睡眠をしっかりとる。
  • 水分補給を行う

を行うことで予防になります。

まとめ

スポーツをしている中学生から高校生に多い肉離れ。筋肉痛かなと思い、放置することもあり、なかなか治らないこともあると思います。

重症度によって治療に時間がかかることもありますが適切な治療を受けることで痛みが少なくなるのが早くな ったり、スポーツに復帰が早くなることも多いです。そのため、医師と相談しながら治療を進めていくのが最良の選択となりますので一緒に頑張っていきましょう。