お尻からのシビレって何?梨状筋症候群の病態と治療を解説

梨状筋症候群って、どんな状態なんだろう?
梨状筋症候群って、治るのかな?
梨状筋症候群の症状から解放されたい

あなたは下のようなことでお困りではありませんか?

  • 腰からお尻にかけて痛みがある
  • 前かがみになるとお尻に痛みが走る
  • 太ももの後ろにピリピリとした感覚がある
  • 長時間座っていたり、運動をするときに痛む

当てはまることが多ければ、あなたは梨状筋症候群かもしれません。 梨状筋症候群は、固くなった梨状筋が坐骨神経を圧迫することで発生します。

体をひねる動作の多いスポーツ(ゴルフ・野球)をしている人や肉体労働、長時間座る姿勢 が多いデスクワークの人や長距離のトラック運転手などがなりやすい病態です。

梨状筋症候群の病態をきちんと理解し、適切な治療を行えば痛みの軽減につながります。

今回の記事では、梨状筋症候群の病態と治療について解説していきます。

梨状筋症候群の病態について

梨状筋症候群の病態について、説明していきます。

梨状筋症候群は、坐骨神経がなんらかの原因で、股関節の筋肉である梨状筋の圧迫や刺激を 受け症状が発生する病態です。

そのため、オーバーユース(使いすぎ)によって、筋肉の柔軟性が低下してくると坐骨神経を 発症することがあります。別の例では、股関節の異常や人工関節の問題でも梨状筋症候群が 発生することもあります。

腰椎から出る坐骨神経は、骨盤についている筋肉の梨状筋の下を走行しているため、梨状筋 の状態に影響を受けやすい構造になっています。

梨状筋症候群の主な症状について

梨状筋症候群はおしりの外側に痛みが出ることが多く、太ももの後ろにしびれがでること もあります。

梨状筋が固くなることが原因になることが多いです。長時間の座り姿勢でおしりに負担が かかったり、あぐらや脚をくむ等の梨状筋が緊張する体勢も原因となります。

あぐらや脚をくむと、大腿が外に開きます。この状態が長時間続くと、梨状筋が坐骨神経を 圧迫してしまい、しびれや痛みの症状がでてきます。

梨状筋症候群の診断について

梨状筋症候群は、MRI やレントゲンなどの検査では見つけることができないのが特徴です。 同じような症状で、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症がありますが、こちらは MRI やレントゲンによって、見つけることが可能です。

ただ、梨状筋症候群は坐骨神経が圧迫されておこる圧迫性坐骨神経障害の総称として用い られることがあります。そのため、梨状筋症候群と診断を受けても、梨状筋が原因でないこ ともあるため、注意をしなければなりません。

梨状筋症候群の治療について

梨状筋のストレッチ

梨状筋症候群において、有効な治療法です。

梨状筋症候群は梨状筋が固くなったことが原因のため、ストレッチで梨状筋の柔軟性を取 り戻すことができれば、症状の軽減につながります。

そのため、梨状筋症候群において、ストレッチが第一選択肢となることがおおくあります。 ストレッチには、椅子にすわってできるもの、寝ながらできるものなどもあります。

他には、ヨガのポーズをとったり、ストレッチポールやテニスボールを使ったストレッチも あり、そのため、自分が無理なくできるストレッチを探してみましょう。

また、下に記載しているブロック注射をする場合でも、筋肉の柔軟性が低下していると、効 果が充分に発揮されず、再発する可能性もあるため他の治療法を選択する場合でも、よくす るためには必要となります。

ただ、やりすぎは逆に梨状筋症候群を悪化させてしまうこともあるため、注意が必要です。

服薬

梨状筋症候群は、坐骨神経の痛みが主な症状となります。そのため、圧迫されている坐骨神 経の働きを抑える薬で対処することも可能です。

神経障害性疼痛治療薬を服薬することで、痛みを伝える神経の働きを抑え、痛みを感じにく くします。

ブロック注射

ブロック注射とは、痛みやしびれを伝えている神経に麻酔薬を注射することで、神経の働き を抑制する治療法です。

梨状筋は何層にも重なったお尻の筋肉の中でも、非常に深い場所にあります。そのため、マ ッサージなどでは、深部の筋肉まで刺激が届きにくいという特徴があります。梨状筋ブロッ ク注射は、梨状筋に直接注射をすることができるので、効果は期待できます。数時間、足に 力が入りにくい、歩きにくいなどのデメリットをあります。

手術

上に記載したような方法をとられることが多く、あまり手術に至るケースは多くありません。しかし、ストレッチやブロック注射などの方法を行い、効果が薄い場合に行われます。

その場合は、坐骨神経に梨状筋が影響を与えない範囲まで切り離す手術が行われます。

術後は、数週間から 1 か月程度のリハビリが必要となるケースが多いため、もし手術をす る場合は、医師と相談の上できめていきましょう。

まとめ

梨状筋症候群は、日常生活での過ごし方が原因でおこる病態です。そのため、普段の仕事や 私生活での過ごし方が大きく関与してきます。

デスクワークや長時間の同じ姿勢で、お尻の筋肉に負担がかかっている方は、日頃からの小さな積み重ねが梨状筋症候群の症状を出さないためには重要となります。 一緒にがんばって治療をしていきましょう。

京橋イノルト整形外科 院長 守谷和樹

  • 久留米大学 医学部 卒業
  • 福岡新水巻病院 研修医
  • 福岡新水巻病院 整形外科
  • 東京品川病院 整形外科
  • 社会医療法人 美杉会 佐藤病院 整形外科
  • 市立ひらかた病院 整形外科 副部長
  • 日本整形外科学会専門医