腓骨神経麻痺の病態と治療についての解説

腓骨神経麻痺ってどんな病気なんだろう?
腓骨神経麻痺って治るのかな?
腓骨神経麻痺の病態について詳しく知りたい

ふくらはぎの外側から足の小趾にかけて痺れが出る腓骨神経麻痺。 あまり聞きなれない名前かもしれませんが、腓骨神経麻痺は 意外と発症されているケースが多い疾患です。 もしかすると、この記事をご覧になられている方も痺れなどの 症状があって腓骨神経麻痺かもしれないと不安になられているのではないで しょうか?

腓骨神経麻痺の病態を詳しく知り、適切な治療を受けることで、腓骨神経麻 痺によって起きている症状の軽減につながります。

今回の記事では、腓骨神経麻痺の病態と治療について解説をしていきます。

腓骨神経麻痺の病態について

腓骨神経麻痺の病態について解説していきます。

腓骨神経麻痺は、腓骨神経と呼ばれる神経が何らかの原因で圧迫をされてし まい、ふくらはぎ~足の小趾にかけて痺れなどの症状が出る疾患です。

腓骨神経は膝の関節の後ろを通る坐骨神経の枝の1つで、膝の外側にある腓 骨にある腓骨頭(ひこつとう)という場所の後を巻きつくように走行しま す。

腓骨神経は比較的皮膚に近い部分を通るので、外部からの圧迫を受けやすい 構造となっています。

腓骨神経麻痺の原因として代表的なのがギプス固定です。 足の骨折などでギプスを巻いて固定をしている際に腓骨神経を圧迫してしま い、それが引き金で腓骨神経麻痺が起こります。

その他の原因で言うとガングリオンと呼ばれる腫瘍や、腓骨頭の骨折、長時 間の仰向けで寝た姿勢などによって腓骨神経が圧迫をされて腓骨神経麻痺を 起こすケースもあります。

腓骨神経麻痺の主な症状について

腓骨神経麻痺の主な症状について解説します。

腓骨神経麻痺は以下のような症状が出るとされています。

  • ふくらはぎ~小趾にかけての痺れ
  • ふくらはぎ~小趾にかけての感覚の鈍さ
  • 下垂足

これらの症状の中でも特徴的なのが下垂足です。 下垂足とは足首の関節や足の指を反らす動き(背屈)が出来なってしまう状 態のことを言います。

腓骨神経麻痺の診断について

腓骨神経麻痺の診断について解説します。

腓骨神経麻痺の診断は以下の方法があります。

  • 麻痺が起きてる場所の特定
  • ティネル兆候
  • 筋電図
  • 画像検査

これらの方法があります。

腓骨神経が障害される場合は、ふくらはぎの外側~小趾にかけて痺れや感覚 の鈍さが出現し、下垂足があればほぼ腓骨神経麻痺と診断されます。 それと同時に腓骨神経を叩いて、神経の走行上での痛みが出るかを確かめる ティネル兆候という検査も行います。

そして筋肉に針を刺して電極を流す筋電図を行い、他の疾患が隠れていない かをレントゲンやMRIなどの画像検査を行って確定診断をしていきます。

腓骨神経麻痺の治療について

腓骨神経麻痺の治療は腓骨頭付近の圧迫物の除去、薬物療法、リハビリ、手 術などがあります。

それぞれの項目について解説していきます。

腓骨頭付近の圧迫物の除去

腓骨神経麻痺は、腓骨神経が走行する腓骨頭付近が圧迫されることで痺れな どの症状を起こす疾患です。

この場合は物理的に圧迫されている圧迫物(ギプスなど)を除去する必要が
あります。

そうすることで神経の圧迫は除去されるので、圧迫物が除去されたら安静に して経過を観察していきます。

薬物療法

腓骨神経麻痺は腓骨神経が圧迫されることで起こる疾患ですが、圧迫を受け ることで神経が炎症を起こしているケースもあります。

この場合には痛みも伴うことも多いので、痛み止めやビタミン剤を処方する ことで炎症や痛みを抑えます。

処方する薬の種類に関しては、医師がしっかりと説明してくださるのでご安 心ください。

リハビリ

腓骨神経麻痺は運動療法などのリハビリを行って機能回復を図っていきま
す。

腓骨神経によって支配されている筋肉を緩めたりエクササイズを行うこと で、筋肉自体の機能を高めて症状の軽減に努めます。

ご自身の判断だけで行うと悪化するケースもありますので、医師の判断の元 進めていくのが間違いないでしょう。

手術

腓骨神経麻痺は基本的に骨折などの怪我がない場合には、3ヶ月程度の期間 様子を見ていくことが多いです。

しかし、麻痺の程度が強い場合には手術をするケースもあります。

神経への損傷具合が強い場合には神経剥離、神経縫合、神経移植などの手術 を行います。 それでも回復が難しい場合には腱移行術といって、他の筋肉の腱を使って動 かすようにする術式になります。

詳しい治療方針については医師がしっかり説明してくださいますのでご安心 くださいね。

まとめ

腓骨神経が圧迫されることで痺れや下垂足などの症状を引き起こす腓骨神経
麻痺。

腓骨神経麻痺は手術をするケースは重度でなければほとんどなく、基本的に は保存療法(手術をしない治療)で経過を見ていきます。

腓骨神経麻痺は神経に対する問題ですので、正直治るまでに時間も掛かる場 合が多く根気が必要になってきます。

腓骨神経麻痺の治療に関しては、医師とともに治療を進めていくことが最良 の方法だと言えます。

辛いと思いますが一緒に頑張りましょう。

京橋イノルト整形外科 院長 守谷和樹

  • 久留米大学 医学部 卒業
  • 福岡新水巻病院 研修医
  • 福岡新水巻病院 整形外科
  • 東京品川病院 整形外科
  • 社会医療法人 美杉会 佐藤病院 整形外科
  • 市立ひらかた病院 整形外科 副部長
  • 日本整形外科学会専門医