知っておこう!変形性股関節症の病態と治療について

変形性股関節症ってどんな状態なんだろう? 変形性股関節症って治るのかな?

最近、歩き始めや立ち上がる時に脚の付け根が痛い、脚が開きにくく靴下が履きづらいな んて症状はありませんか? そんな症状があったら、もしかしたら変形性股関節症の疑いがあるかもしれません。

二足歩行できるようになった私達の股関節には負担がかかり続けます。 少しでも股関節への負担を減らし、いつまでも歩ける脚を維持していきたいですよね。

変形性股関節症の正しい知識を身につけて進行を予防していきましょう。

今回の記事では、変形性股関節症の病態と治療について解説していきます。

変形性股関節症の病態について

変形性股関節症とは股関節にあるクッションのような役割をしている軟骨がすり減ること で関節に炎症が起こり、やがて骨が変形していく進行性の疾患です。

股関節は骨盤と大腿骨と言われる太ももの骨からなります。大腿骨の上の端っこは大腿骨 頭と言い、骨盤のくぼみにはまり込んでボールとソケットのような構造になっています。

大腿骨頭と骨盤の間には関節軟骨といわれるクッションがあります。このクッションがあ ることで、体重の衝撃を吸収して滑らかな動きができるのです。 ところが股関節に負担がかかり続けることで軟骨がすり減ります。

軟骨は一度すり減ると 再生されません。クッションを失った股関節はやがて衝撃が吸収できなくなり、骨と骨が ぶつかることで変形していきます。

変形性股関節症に原因は大きく分けて2つあります。 1つは加齢や肥満、重たい物を持ったり長時間立つなど日々の生活が原因になる場合。

もう1つは生まれるき股関節の骨の形に異常がある場合です。 日本では80~90%が後者が原因だと言われています。 発症年齢は40~50歳代の女性に多く、男性の7倍とも言われています。

変形性股関節症の主な症状について

変形性股関節症の主な症状について解説していきます。

変形性股関節症は以下の症状が出るとされています。

股関節周囲の痛み

初期は立ち上がり時や歩き始め、長時間の歩行の後に違和感や痛みを感じます。

進行すると安静や夜間寝ている時も痛みを感じるようになります。 また、痛みは股関節の付け根に出ることが多いですが、膝や腰、臀部にも出ることがあり ます。

股関節が動かしづらくなる

初期では著明ではないですが、変形が進行するにしたがって脚が開きにくくなってきます。

それにより、靴下を履くことや足の爪切り、正座などが難しくなります。

上記以外にも痛みをかばって歩き方が変わったり、脚長差が生じます。

変形性股関節症の診断について

変形性股関節症の診断は、以下の方法で行います。

  • 問診
  • 動作や可動域を見て検査
  • 画像検査

どうして痛くなったのか?どういう時に痛いのか?などを問診で聞き、 痛みがる部位がどういう動作で痛いのか?股関節の可動域に問題ないかを見て、レントゲ ンやMRIなどの画像検査を行なっていきます。

レントゲンでは骨の変形の程度や関節の隙間の広さ、骨棘(棘のように突出した骨)、骨 嚢胞(骨の空洞)があるかを確認します。 レントゲンでは軟骨など確認できないため、必要ならMRI検査も行います。

変形性股関節症の治療について

変形性股関節症の治療は生活指導、薬物療法、リハビリ、温熱療法、手術などがあげられ ます。

変形した骨はもとに戻せないためため、変形性股関節症の治療はまず保存療法で症状を和 らげることと変形の進行を抑えることが基本になります。

保存療法を行っても痛みが強く、日常生活に支障をきたす場合は手術を検討します。 それぞれの項目について解説していきます。

生活指導

変形性股関節症の治療では股関節にかかる負担をできるだけ減らすための生活指導を行います。 具体的には以下のような指導指導を行います。

  • 重い物を持ち運びすることはなるべく避ける
  • 体重を減らす
  • しゃがむ、かがむ、床から立ち上がるなど股関節を深く曲げることを避ける
  • 痛みが強い場合は杖などを使用する
  • 和式の生活から洋式の生活にする

股関節への負担を減らす生活を心がけることで変形性股関節症の進行をを防ぎ、症状の緩 和を見込める場合もあります。

薬物療法

変形性股関節症では、強い痛みが生じた場合は日常生活に支障をきたすので、痛みや炎症 を和らげるために薬物療法を行います。

具体的には

  • 湿布薬
  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
  • アセトアミノフェン
  • オピオイド

これらの薬を服用することで変形性股関節症の痛みや炎症を落ち着かせます。

リハビリ

変形性股関節症の多くはリハビリによる症状の緩和と進行の予防が基本です。 具体的にはストレッチや軽めの筋力トレーニング、有酸素運動を行っていきます。

ストレッチを行うことで股関節周りの筋肉を緩め動きやすくし、動かせる範囲を広げてい きます。 股関節が動かしやすくなったら、筋力トレーニングを行い、股関節を支える筋力を鍛えて いきます。

股関節に負担の少ない有酸素運動としてはウォーキングやバイク、水中運動があります。

ご自身でストレッチや筋力トレーニングを行うことも良いのですが、自己流で行うと痛み が悪化してしまうケースもあります。

ですので、専門家の指導のもとセルフケアを行うことをお勧めします。

温熱療法

変形性股関節症では温めることで血行を良くして痛みの原因物質を流し、痛みを緩和させます。 具体的には以下のような方法があります。

  • ホットパック
  • 超音波

自宅で手軽に行えるのは入浴です。

手術

保存療法でも症状が緩和しない場合や、病状がかなり進行してしまっている場合は手術を行います。

関節を残す手術(関節温存術)や人工関節に置き換える手術などいくつか方法があるの で、医師と相談をした上で治療方針を決めることをお勧めします。

まとめ

痛みにより日常生活に支障をきたす変形性股関節症。

股関節への負担を減らす動作を心がけたり、適切な治療を受けることで症状を緩和させた り、進行を予防することができます。

1日でも早く痛みを軽減させたい場合には、医師と相談しながら治療をすることが最良の 選択となりますので、一緒に頑張って治療していきましょう。