リハビリテーションとは?を解説

リハビリテーションとは?を解説

リハビリって何?

リハビリは、どんなことをしてくれるの?

「リハビリ」という言葉を、聞いたことがある人はいるかもしれませんが、その内容までしっかりと理解している人は少ないと思います。

リハビリは、怪我や病気の後に障害が残ってしまっている人に対して、提供されるサービスです。怪我や病気をしたことがない人からすると、リハビリを提供することを職業としている人がいる、ということも知らない人も多いでしょう。

今回の記事では、リハビリテーションについて解説していきます。

リハビリテーションとは?

WHOによると、リハビリテーションとは下記のように定義されています。

「リハビリテーションは障害(能力低下や社会的不利)及びそれにもたらす状態を改善し、障害者の社会的統練を行うだけではなく、障害者の社会的統合を促すために全体としての環境や社会に手を加えることも目的とする。そして、障害者自身、家族、彼らが住んでいる地域社会が、リハビリテーションに関係するサービスの計画や実行に関わり合わなければならない」

とされています。

つまり、リハビリは障害の改善だけを行うだけでなく、障害を持ちつつも本人や家族が今の社会で暮らしていけるように、家や職場などの環境にも配慮し、地域社会に戻っていただく活動のこと、ということができます。

リハビリテーションが必要になる場面は多く、リハビリが必要な場面ごとに、医学的リハビリテーション、職業的リハビリテーション、社会的リハビリテーション、教育的リハビリテーションに分けて考えられています。

医学的リハビリテーション

医学的リハビリテーションは、体の機能が低下してしまったり、障害があったとしても、代わりになる機能を見つけたり、道具などを活用したりして、能力を改善させる医療行為のことを指します。これらのリハビリを通して、障害を持ちつつも社会で自立して生活ができる状態を目指します。

例えば、足首の怪我をしてしまい、足首の動きが硬くなってしまった人がいたとします。足首の硬さを改善して再び歩けるようにしたり、足首が痛くならないような動作を教えたりすることで、障害が残りつつも、社会生活ができるように治療や環境や動作の提案を行なっていきます。

別の例で言うと、足の切断をしてしまった人に対して義足を作成し、歩行練習などを行う場合、義足を作成して歩行練習をすること自体が定義でいう代償機能を活用するという部分になります。

このように医療現場で提供されるリハビリを、医学的リハビリテーションと呼びます。

職業的リハビリテーション

職業的リハビリテーションは、障害を持った方が、仕事に就けるように仕事で使用する動作について訓練をしたり、職業の動作上での注意点について指導を受けたり、現状の能力で就ける職についてアドバイスを受けたりすることを言います。

このような流れでふさわしい職に就き、社会に復帰することを促すリハビリテーションです。

リハビリテーションの中では、主に作業療法がメインで関わる部分です。働くために必要な動作を習得したり、動作が困難であれば、道具を使用して動作をしてみたりなど、あらゆる方法を考えて、職に就くことを支援していきます。

社会的リハビリテーション

社会的リハビリテーションは、病院を退院した後の家庭や地域、職場などの社会的な環境において、障害を持ちつつも社会環境に適応できるように支援していくことを言います。

具体的には、ご家族に対して患者さんはどのようなことならできるのか、患者さんはどのような部分に障害が残ってしまっているのかなど、できること、できないことなどを明確にしていき、支援が必要な部分、自立できる部分の区別をはっきりさせます。

その上で、自宅内で必要な設備や道具などがあれば合わせて提案していきます。

また、職場環境としてどのような部分に配慮が必要なのか、どのような注意が必要なのかを会社の方々に提案したりすることもあります。

このように、社会に適合するために必要な情報提供をしたり、具体的に環境を変えたりすることを社会的リハビリテーションと言います。

教育的リハビリテーション

教育的リハビリテーションは、障害のある児童などに対して機能の改善を図ったり、社会で生活をしていく上での注意点や、配慮するポイントなどを伝えたりすることを指します。

具体的な役割としては、ポジショニングの指導や、自助具の作成・使用方法の指導、摂食指導など多岐にわたります。

リハビリテーションは様々な職種で行うもの

リハビリテーションは、1つの職種だけでは完結させることができません。患者さんを取り巻くあらゆる職種が、同じ目標に向かって、それぞれの専門性を発揮します。そうすることで、患者さんの最良な状態を引き出すことを目指します。

怪我や病気によっては後遺症が残ってしまう方もいるでしょう。

しかし、障害が残りつつも、今まで通りの生活が営めたり、自尊心が傷つけられることのないように仕事ができたりする状態にしていくことが、リハビリテーションなのです。

まとめ

今回の記事では、リハビリテーションについて解説してきました。

リハビリテーションと一言で表現しても、行う内容は多岐にわたり、様々な職種が関与します。しかし、すべての職種が「社会復帰してもらいたい」「今まで通りの生活に戻ってもらいたい」などの目標に向かって、それぞれの専門性を発揮します。

身体機能だけでなく、心理面や環境面のことまで考えて、患者さんをフォローしていきます。

治療に関して何か心配なことや悩みがあるようでしたら、どの職種のスタッフでも良いので、気軽に話をしてみてくださいね。

きっと、あなたの気持ちに寄り添ってくれるはずです。

参考文献

・理学療法科学学会:理学療法科学シリーズ理学療法概論第6版
資料
・眞鍋克博. “特別支援教育におけるリハビリテーションの現状と課題: リハビリテーション学科を有する大学に求められているもの.” 帝京科学大学紀要 7 (2011): 49-53.
資料