骨折後のリハビリはどのようなことを行うのかについて解説
骨折をした人に対して行われるリハビリ。でも、いつ頃からどういう内容のリハビリが提供されるのかについて、詳しく理解している方は少ないと思います。
そのため、
「骨折をしたのにリハビリをするってどういうこと?」
「骨折した人に対して行うリハビリってどういう内容?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、骨折後のリハビリについて、骨折してからの時間経過ごとに解説していきます。
骨折後すぐのリハビリ
骨折後のリハビリの介入は、処置が終了してからすぐに介入開始になることが多いです。
まずは、骨折後すぐのリハビリについて解説していきます。
骨折後は、まず患部の安静を保つことが大切です。
入院してしまった場合は、ベッド上での安静を強いられますが、どのような姿勢だったら楽なのか、痛みが少ないのか、食事やトイレはどのようにしたら良いのか、患者さんの状態を把握しながら動作の提案をしていきます。
一通り状態の把握が終了し、動作の方法が決まったら、それを病棟の他のスタッフと情報共有をします。そうすることで、患者さんに関わるすべてのスタッフが、同じ方法で動作を行うことができるので、患者さんに無駄な痛みや苦痛を与える可能性が低くなります。
中には、骨折をしている状況でも患部の安静を保ちつつ、動ける人もいるでしょう。そのような人には、松葉杖で歩く練習を行ったり、トイレに行く練習を行ったりするところから、介入していきます。
手術後のリハビリ
骨折をしてしまうと、手術により骨を固定することもあります。
多くの場合、手術の翌日からリハビリは介入をし始めます。
術後翌日の動作の管理
手術翌日は、まだ患部の腫れや痛みが強く、まともに動けないかもしれません。しかし、手術翌日だとしてもトイレや食事など、どうしても行わなければならない動作はありますので、そのような動作に対してできることを行なっていきます。
炎症や痛みに対する対処
患部の腫れに対しては、患部が心臓よりも高くなるようにポジションを設定してみたり、アイシングを行ってみたりして、腫れや痛みが早期に改善するように配慮していきます。
腫れてしまうと、関節を動かすことが非常に大変になるため、血の塊である「血栓」ができやすくなっています。そのため、足の指や足首、手の指など、動かせる部分はしっかりと動かして、血流が悪くならないように配慮していきます。
また、痛みが強い場合には、医師に情報提供をし、痛み止めの変更や追加を行い、痛みのコントロールをします。
関節を動かす練習
骨折や手術により炎症が出ると、関節が動かしづらくなります。その状態を放置してしまうと、関節が硬くなり、動作に支障が出るようになってしまいます。
そのため、炎症や痛みなどに配慮しながら、関節を動かす練習を行なっていきます。
最初は、痛みが出ない範囲で優しく動かし始めます。手術後1週間程度すると炎症も落ち着いてきて、患部周囲のむくみも減少してくるため、徐々に力を加えながら関節を動かすこともあります。
筋力強化
骨折や手術により影響を受けるのは、関節だけではありません。筋肉にも影響があります。
炎症が出て関節が動かしづらくなると、筋肉も動きません。筋肉が動かない状態が続いてしまうと、筋肉が硬くなるだけではなく、短縮してしまったり、筋力が落ちてしまったりします。
筋力はすぐに落ちてしまいますが、元に戻すのは非常に大変です。そのため、いかに筋力を落とさないようにするのかが非常に大事です。
骨折部以外の筋肉が落ちないように積極的に筋トレを行ったり、骨折部周囲の筋力が発揮したりしやすくなるように、動かす練習も合わせて行なっていきます。
荷重が制限されることも
骨折には色々なパターンがあります。特に足の骨折では、体重をかける量に制限が出る可能性があります。
骨に対して真横に線が入るような骨折では、荷重とともに折れた骨が癒合するようなストレスがかかるため、荷重制限は出にくいですが、骨に対して並行、つまり縦方向に線が入るような骨折は、荷重と共に骨がずれるストレスがかかるため、ある程度骨が癒合するまで荷重を待ったり、荷重をかける量に制限をかけたりします。
荷重に制限が出てしまうと、入院期間が長くなったり、筋力が落ちやすかったり、様々な弊害が出てしまいます。
まとめ
骨折は、いわゆる大怪我に分類されます。
骨が折れただけではなく、周囲の皮下組織や筋肉、神経なども損傷する可能性のある大変怖い怪我です。
患者さんの中には、手や足1本だけの骨折を軽く見る方がいます。
骨折の治療で重要なのは、いかに骨を良い状態でくっつけるかです。
痛みが徐々に軽減してくると、無理をしてしまったり、骨がずれるようなストレスをかけてしまったりする方がいますが、これらのことはとてもリスクがあります。
早く回復したい思いがあるのでしょうが、逆効果になってしますことも考えられます。
骨折は、多くの例で癒合していきますので、焦らず、しっかりと治していきましょう。