骨粗鬆症はどんな運動をしたら良いか解説
骨粗鬆症には運動が必要らしいけど、どんな運動がいいの?
運動の仕方って何かあるの?
そもそも運動って骨粗鬆症に効果あるの?
一口に運動をしてくださいと言われても、どんな運動をしたら良いか、困ってしまいますよね。
骨粗鬆症と運動の関連性も、よくわからない人も多いことでしょう。
今回の記事では、骨粗鬆症の方が、どのような運動をしたら良いかについて、解説していきます。
骨粗鬆症に運動は効果があるのか
そもそもの話になりますが、骨粗鬆症に運動は効果があるのでしょうか?
結論としては、効果があると言われています。
研究では、運動をすることにより、骨に対する血流量を増加させ、骨を作る細胞である骨芽細胞が活発になる働きがあることが、確認されています。
さらに、運動することにより、骨にも電気刺激が入力され、カルシウムなどの栄養素が骨にくっつきやすくなることも確認されているのです。
運動不足になると、骨は弱くなってしまうことがわかっています。
これは、宇宙飛行士が帰還した後の骨を確認してから、言われるようになってきました。
4日間の宇宙飛行後、宇宙飛行士の踵の骨の骨濃度を調べた研究では、骨濃度が9%も減少していることがわかりました。
一方で、宇宙飛行中も運動をした人では、運動をしなかった人に比べて、骨濃度の減少が1/10で済んだことも確認されています。
これらから、無重力下で骨に対して重力がかからない状態が続いてしまうと骨が弱くなること、骨に対して何らかの刺激が入ると骨が弱くなりにくいことがわかります。
また、運動不足の状態では、骨を吸収していく作用が骨を作る作用を上回り、尿中のカルシウム濃度も上昇してしまうとも言われているのです。
弱くなりやすい骨にも特徴があり、胴体から離れた場所ほど骨が弱くなります。
例えば腕の骨の場合だと、肩周りよりも手首、手首よりも指の骨の方が弱くなりやすいです。
運動に関連した研究では、運動をしている人の方が、運動をしていない人に比べて、骨は丈夫であることが確認されています。競技としては、水泳よりも陸上競技、陸上競技よりも重量挙げといったように、骨に対して入る刺激が多いほど、骨が丈夫であることがわかっています。
高齢者を対象とした研究でも、運動をしている人の方が、骨は丈夫なことが判明しました。
骨を丈夫にする効果は、薬と同等の効果があるとしています。
運動が骨を丈夫にする作用には、年齢は関係ないということですね。
どんな運動をすればいいの?
運動が骨を丈夫にし、大きな負荷がかかるほど骨が丈夫になる傾向をお伝えしましたが、普段行っていく運動としては、どの程度の運動をすれば良いのでしょうか?
結論としては、できる範囲の運動で大丈夫です。
理由は、25分間の軽い運動をする人と運動をしない人の全身のカルシウム濃度を調べた研究で、運動をしている人の方カルシウム濃度が高かったことがわかっているからです。
骨に対して重力をかけていくことが必要になるので、歩くことや軽い腕立て伏せなどで十分な効果が得られることが考えられます。
できれば、水泳よりも散歩の方が良いですし、軽い重りを持ちながらの歩行であれば、さらに効果が期待できるでしょう。
運動をする時の注意点は?
運動は、軽い負荷のものから始めて、急激に負荷をかけすぎないように注意が必要です。
歩行であれば、最初はできる範囲から始めてみましょう。目標としては、30分程度の歩行が可能になるように徐々に、歩行時間を伸ばしていきます。
歩行をする時には、姿勢を良くするように気をつけ、歩幅や腕の振りを少し大きくすると、全身をくまなく使うことができ、血流の向上にもつながります。
また、転倒には十分注意してください。
骨粗鬆症があると、転倒により背骨や足の付け根、手首などを骨折しやすくなっている状態になっていることが考えられるからです。
せっかく骨を強くする目的で歩行をしても、転倒をしてしまい骨折をしてしまっては、本末転倒です。滑りにくい靴や動きやすい服装で運動をするようにしましょう。
膝や腰が痛くて運動ができない場合
運動をする時に、膝や腰の痛みが強く、運動ができない人がいます。
痛みが強くて運動ができない人の場合は、まずは痛みの原因を除去することから始める必要があります。
膝や腰の痛みがある人の場合は、変形性膝関節症や腰部脊柱管狭窄症などの診断がつく場合があります。
まずは専門家に痛みを相談し、痛みが軽減して運動が十分にできるようになってから、短時間の歩行から始めてみましょう。
まとめ
今回の記事では、骨粗鬆症の人はどんな運動をしたら良いかについて解説してきました。
骨粗鬆症だからといって、いきなり急激な負荷は必要ありません。
30分程度の歩行を毎日無理なく行っていく程度から、骨が丈夫になることが確認されているからです。
骨を丈夫にするのに、年齢は関係ありません。「もう歳だから」と諦めるのはまだ早いです。
できる範囲の運動から始めていき、骨折しにくい体を目指していきましょう。
・林泰史. “骨粗鬆症と運動.” 体力科学 43.2 (1994): 195-199.