骨粗鬆症の注射が月1回で済むものはある?注射の種類について解説
骨粗鬆症の注射を自分で毎日やるのは面倒くさい。
毎週通院するのが大変。通院頻度を少なくできないの?
骨粗鬆症の治療は長引く上に、医療機関で注射をしなければならないことも多いですよね。自宅から病院まで遠かったり、仕事を休んで病院に連れて行かなければならなかったり、家族の強力なサポートが必要になってしまうことも多いです。
今回の記事では、骨粗鬆症の注射が月に1回で済む種類をご紹介して行きます。
Contents
骨粗鬆症の注射が月1回で済む薬
最初に、骨粗鬆症の注射が月1回で済む薬を紹介します。
月1回で済む薬は、ビスホスホネート薬のボンビバ静注と、抗スクレロスチン抗体薬のイベニティーです。
それぞれ解説していきます。
ボンビバ静注
ボンビバはビスホスホネート薬と呼ばれる種類の薬です。
ビスホスホネート薬は、破骨細胞の活動を抑えることにより、骨形成のバランスを整えて、骨を丈夫にする作用がある薬です。
ボンビバ静注を使用する上での注意点
下記のような人は、ボンビバを使う上で注意が必要です。
・過去にビスホスホネート薬を使用し、アナフェラキシーなどの過敏症状が出た人。
ボンビバ静注使用中の注意点
ここからは、ボンビバ使用中の注意点について解説していきます。
カルシウムやビタミンDをしっかりと摂取する
骨の形成を促すため、カルシウムやビタミンDが不足しがちになります。食事やサプリメントなどから、十分な量のカルシウム、ビタミンDの摂取を行ってください。
歯科治療はできるだけ行わないようにする
歯科治療を行う場合、ビスホスホネート系の薬を使用していることを、医師に必ず伝えてください。薬の副作用として、歯科治療に伴う顎の骨の炎症が報告されているからです。
そのため、歯科医師と治療方針をよく相談し、歯科治療を優先させるのか、骨粗鬆症の注射を優先させるのか、決めなければいけない場合があります。
歯科治療が必要な状態にならないためにも、日頃から口の中をきれいに保っておくことが必要です。日頃のブラッシングだけでなく、歯間フロスを使用したり、デンタルリンスを使用したりして、きれいな状態を保つようにしましょう。
耳の異変に気を付ける
歯科治療に伴う顎の骨の炎症だけでなく、耳の骨の炎症も副作用として報告されています。
耳の周りの炎症や痒み、耳だれなどの症状が現れた時には、早期に耳鼻科を受診するとともに、ビスホスホネート系の薬を使用している旨を伝えてください。
足の付け根や腕の痛みに気を付ける
ボンビバを”長期間”使用している人に限り、足の付け根や肘から手首にかけての部位に骨折が見られたと副作用の報告があります。
足の付け根や腕に痛みが出た場合には、早期に医療機関の受診をしてください。
イベニティー
イベニティーは、抗スクレロスチン抗体薬という種類の薬です。
スクレロスチンというタンパク質に作用し、骨吸収をする破骨細胞の活動を抑え、骨を形成する骨芽細胞の働きを促進する作用があります。
イベニティーは、月に1回投与し、12ヶ月投与を行います。12ヶ月の投与が終了したら、別のお薬に切り替えて治療を継続していきます。
イベニティーを使用する上での注意点
下記のような人は、イベニティーを使う上で注意が必要です。
イベニティー使用中の注意点
ここからはイベニティー使用中の注意点を解説していきます。
虚血性心疾患に注意する
イベニティー使用中に、虚血性心疾患が出る可能性があります。虚血性心疾患とは、心臓の血管が細くなり、十分に血液が循環しなくなる病気です。具体的な診断名としては、狭心症や、心筋梗塞が挙げられます。
症状としては、下記の症状が現れる可能性があります。
このような症状が現れた時には、すぐに救急車を呼ぶようにしてください。
脳血管障害が出る可能性がある
イベニティー使用中に、脳血管障害が出る可能性があります。脳血管障害とは、脳の血管が詰まり、十分に血液が送られない状態になってしまうことを言います。
具体的な診断名としては、一過性脳虚血発作や、脳梗塞が挙げられます。
症状としては、下記の症状が現れる可能性があります。
このように、虚血性心疾患や脳血管障害の症状が出た時には、直ちに病院を受診してください。
低カルシウム血症に注意する
イベニティーを使用していると、低カルシウム血症の症状が出ることがあります。
低カルシウム血症の症状は、下記の通りです。
低カルシウム血症の症状が出ないように、カルシウムやビタミンDを補充する薬をしっかりと摂取したり、普段の食事で多くのカルシウムが取れるように工夫をしていきましょう。
歯科治療はできるだけ行わないようにする
ビスホスホネート薬と同様に、イベニティー使用中にも抜歯を伴うような外科的な歯科治療をしてしまうと、顎の骨に炎症が出る可能性があります。
歯科治療を行う際には、歯科医師に抗スクレロスチン抗体薬を使用していることを伝えてください。
また、歯科治療が必要にならないように日頃から口の中のケアをしっかりとしていきましょう。
まとめ
今回の記事では、骨粗鬆症の注射が月に1回で済む薬の種類について解説してきました。
特に歯科治療への注意や、心臓や脳などの血管が詰まるリスクがお分かりいただけたと思います。
日頃から口内をきれいにしておき、そもそも歯科治療が必要ない状態を維持していきたいですね。
また、血管が詰まらないように、水分を多く取ったり、じっとしている時間を短くしたりする対策も必要です。過剰に怖がらずに、もし症状が出た時にすぐに対応できるようにしていくと良いでしょう。
今回ご紹介した薬以外にも半年に1回、1年に1回の薬もありますので、月に1回の薬でも通院が大変であれば、医師に相談してみてください。
・大正製薬:ボンビバ静注1mgシリンジ 患者向医薬品ガイド
・astellas:イベニティーの作用機序
・公益財団法人骨粗鬆症財団:骨粗鬆症治療薬一覧