骨粗鬆症治療で使われる注射の種類について解説

骨粗鬆症治療で使われる注射の種類について解説

骨粗鬆症治療の注射ってどんな種類があるの?

骨粗鬆症治療の注射の効果は?

一言で注射と言っても様々な種類の注射があり、どのような効果があるのか、分かりにくいですよね。

骨粗鬆症治療において、飲み薬の他に注射が選択される場合があります。

注射で骨が強くなると言われても、いまいちピンとこない方も多いでしょう。

そこで今回の記事では、骨粗鬆症治療で使われる注射の種類について解説します。

骨粗鬆症治療で使われる注射の種類

骨粗鬆症治療で使われる注射は下記の通りです。

【ビスホスホネート薬】

リクラスト・ボンビバ・ボナロン

【抗RANKL抗体薬】

プラリア

【副甲状腺ホルモン薬】

テリボン・フォルテオ

【抗スクレロスチン抗体薬】

イベニティー

【カルシトニン薬】

エルシトニン

それぞれターゲットとしているものが違い、効果も違います。

それぞれの薬品について解説していきます。

 リクラスト・ボンビバ・ボナロン(ビスホスホネート薬)

リクラスト・ボンビバ・ボナロンはビスホスホネート薬と呼ばれる薬です。

ビスフォスホネート薬は、骨を吸収する細胞である破骨細胞の活動を抑えることにより、骨を丈夫にすることを目的としている薬です。

リクラストとボナロンは点滴にて投与します。ボンビバは注射にて投与します。薬により、投与する間隔は異なります。

リクラストは、年に1回、ボナロンは4週に1回、ボンビバは月に1回の投与です。

いずれの薬剤も、静脈内に投与するため、医療機関を受診し注射・点滴をしてもらいます。

注意点

ビスホスホネート系の薬剤を使用する時には、歯の治療に注意が必要です。まれに顎の骨に炎症が起きてしまうことがあるため、薬剤を使用している期間に抜歯を伴う治療は避けるようにすることが推奨されています。歯医者にかかる時には、必ず骨粗鬆症の治療をおこなっており、ビスホスホネート系の薬剤を使用している旨を伝えてください。

また、抜歯を伴う治療をしなくても済むように、口腔内の衛生環境には注意を払い、常に清潔を保つようにする必要があります。

さらに、可能性は低いですが耳の炎症が起こることもあるため、耳に何か異常を感じたら、早期に耳鼻科への受診をするようにしましょう。

プラリア(抗RANKL抗体薬)

プラリアは、抗RANKL抗体薬と呼ばれる種類の薬です。

抗RANKL抗体薬は、破骨細胞が活性化するタンパク質であるRANKLというタンパク質に対して作用します。RANKLが破骨細胞に結合しないようにすることで、破骨細胞の活動を抑えます。

プラリアの投与は、6ヶ月に1回です。

注意点

副作用として、血液中のカルシウム濃度が下がる可能性があるため、カルシウムやビタミンDをしっかりと摂取することが大切です。

また、ビスホスホネート系の薬剤と同様に、顎の骨に炎症が出る場合があるため、抜歯を伴うような歯科治療はしないようにする必要があります。口腔内をきれいにしておくように心がけておきましょう。

テイボン・フォルテオ(副甲状腺ホルモン薬)

テリボンやフォルテオは、副甲状腺ホルモン薬と呼ばれる薬です。

副甲状腺ホルモン薬は、骨を形成する骨芽細胞に対して作用します。

副甲状腺ホルモン薬は、骨芽細胞の数を増やしたり、骨芽細胞の寿命を伸ばしたりして、破骨細胞と骨芽細胞のバランスを保ち、骨を丈夫にする作用です。

注意点

フォルテオやテリボンは、自分で注射をすることが可能です。

注射の仕方は薬により異なりますので、医師や看護師から注射の仕方をしっかりと教わり、間違えないように使用しましょう。

また、フォルテオやテリボンには使用制限があります。

フォルテオは1日1回皮下投与しますが、生涯で2年間しか注射を行うことができません。テリボンは週に2回注射をしますが、72週までしか投与が認められていません。理由は、可能性は低いですが、骨に腫瘍ができる可能性が指摘されているからです。制限内での使用であれば問題はありませんので、過剰に心配はしなくても大丈夫です。

イベニティー(抗スクレロスチン抗体薬)

イベニティーは、抗スクレロスチン抗体薬と呼ばれる薬です。スクレロスチンは、破骨細胞を活性化するだけでなく、骨芽細胞の活動を抑えてしまい、骨の形成バランスを崩してしまう働きがあります。

抗スクレロスチン抗体薬は、スクレロスチンに作用するため、破骨細胞の活動を抑え、骨芽細胞を活性化させるため、骨の形成バランスを整えてくれる作用があります。

イベニティーは、月に1回、12ヶ月間皮下に投与します。

注意点

イベニティーもビスホスホネート系の薬と同様に、顎の骨に炎症が出る可能性があります。抜歯を伴うような歯科治療は避けてください。

また、治療期間中は、十分にカルシウムやビタミンDを摂取するようにします。

イベニティーも治療期間が決まっており、投与は12ヶ月までです。

 エルシトニン(カルシトニン薬)

エルシトニンは、カルシトニン薬と呼ばれる薬です。

カルシトニン薬は、破骨細胞の活動を抑えてくれる作用がありますが、主に、骨粗鬆症の方の鎮痛作用が強いため、鎮痛目的で処方されることが多い薬です。

エルシトニンは、週に1~2回、筋肉内に注射します。

まとめ

今回の記事では、骨粗鬆症治療で使われる注射の種類について解説してきました。

注射の注意点で多いのが、抜歯を伴うような歯の治療が行えないということです。歳を重ねると、歯の治療をする機会も多くなってきますよね。しかし、骨粗鬆症の治療を始めてしまうと、骨粗鬆症の治療の影響で、歯の治療ができないということにもなりかねません。

骨粗鬆症の治療をする前に、歯の治療をしっかりと終わらせから、骨粗鬆症の治療ができることが望ましいですが、判断が難しい場合もあります。医師とよく相談しながら、治療方針を決めていきましょう。

また、日頃から骨が弱くならないように、食事や運動に気を遣うことや、口腔内の衛生状態を保っておくことは、非常に大事なこともお分かりいただけたと思います。

あらゆる面で、健康に気をつけていかなければいけませんね。