左側に多い腰痛の原因は?を徹底解説!
腰痛は厚生労働省が行う国民生活基礎調査で長年にわたり職業性疾病の第一位であり、全体の約6割を占めています。日本人が有する疾病のうち最も多いのが腰痛であり、今や国民病とも呼べる様相を呈しています。
なぜ、 ”左側” だけに腰痛があるのか?
腰痛でお悩みの方で「左腰だけに痛みがある」といった方が多くおられます。 このような方は、どういったことが原因で左側だけに腰痛が発生するのでしょうか?考えられる腰痛の要因について触れたいと思います。
例えば、 立位時に左側に体重をかける、左側を下にして毎日寝ている、車を運転している 時に肘掛に左腕を乗せているなどの片寄った姿勢を取り続けると、その動作を行うために使う筋肉の負荷にも偏りが出るため、左側の腰に痛みが出てくる可能性が高くなります。
筋肉疲労が要因の腰の痛みは、動作をすると痛みが発生するのが特徴で、その場合はストレ ッチをしたり、姿勢を見直すことでよくなることもあるので、まずは生活スタイルの見直し をおすすめします。
それでも痛みが改善しない場合は整形外科を受診しましょう。
片側の腰痛の原因としては、急性腰痛(ぎっくり腰)である場合も考えられますが、「椎間 板ヘルニア」である可能性も否定できません。
椎間板ヘルニアは腰に負担がかかる状態が長く続いたことにより、背骨の骨と骨の間にある椎間板の一部が飛び出してしまい、神経を圧迫し痛みを生じさせます。
左腰にある神経が圧迫されると左側の腰に痛みが発生します。また、足を支配している神経は、脊髄の腰の部分 から背骨の隙間を通り、足に伸びているため、脊髄の神経が背骨部分で圧迫されると足の痺 れに繋がりやすいです。
加えて排尿障害が起きることもあります。その場合はすぐに整形外科を受診しましょう。
何も思い当たる原因がないのに、運動時でも安静時でも腰が激しく痛み、倦怠感、発熱、嘔吐が併発している場合は内臓に問題があると考えられるので注意が必要です。
腰の左側には様々な臓器があり、それらの臓器が左腰に痛みを発生させることがあります。
代表的な臓器は胃、膵臓、腎臓などです。
胃痛が起こると内臓を支えている筋肉も硬くなり、その緊張から内臓に近い左腰に負担がかかってきます。腰痛の他に腹痛や血便、吐き気、嘔吐などを伴います。
胃液によって胃や十二指腸の粘膜が傷つけられることによって引き起こされます。 胃潰瘍 ができた場合、みぞおちから左腰にかけて痛むことが多いようです。
腎臓は腰辺りに左右一つずつあり、左の腎臓に問題があると、左腰が痛むことがあります。
倦怠感や発熱を伴う腰痛や、嘔吐などの症状がみられます。加えて尿が濁ったり、血尿がでる場合は速やかに泌尿器科を受診してください。
大腸菌などの細菌が、腎臓に入り込み炎症を起こし背中や腰の辺りに殴られたような鈍い痛みがあります。腰を叩くと痛む殴打通があります。
尿に含まれるカルシウムやシュウ酸の濃度が高くなって腎臓に結石ができ、その石が動くと間欠的で激しく痛みます。
すい臓は、胃の後ろ、背中側にあるため、左腰が痛む場合があります。 合わせて、みぞお ち付近に痛みが出て、発熱、吐き気や嘔吐などの症状があらわれます。
痛みは激しく、吐 き気や嘔吐を伴います。
すい臓からくる腰痛の疑いがある場合は内科、消化器内科を受診し てください。
すい臓が分泌する消化酵素が、すい臓の細胞を消化して、炎症を起こします。突然の激痛 食後に痛みが生じる 上腹部を押すと痛い、下痢、体重減少 食欲の低下、発熱も伴います。
すい臓がんはできると発見されにくく、進行した状態で見つかる事が多いです。 夜中に激 しく痛む、体重が減る、食欲の低下、黄疸を発します。
子宮や卵巣は腰の辺りにあるので、その左側に炎症などが起こると、左腰が痛むことがあります。 腰の辺りの鈍い痛みや、月経の度にひどくなる腹痛が特徴的です。そのような場合は婦人科を受診してください。
本来、子宮の内側に作られる子宮内膜が、子宮以外の場所に発生・発育し腰の痛みを発しま す。 月経のたびに腹痛がひどくなり、頭痛を伴う鈍い痛み背中や股関節まで広がる痛み性交時や排便時の痛みがあります。
卵管に細菌が入り込み、炎症を起こします。不潔な性交渉をしたり、タンポンを長時間放置 している人は、発症のリスクが高いです。 うずくような痛み 感染が広がるにつれて痛みが 激しくなる、発熱、不正出血、吐き気、嘔吐、おりものの増加が見られます。
以上の症状以外に、便秘の方は腸に便が溜まってしまい、腸を支えている腰の筋肉を圧迫す ることになり左腰の痛みがあらわれることがあります。
左腰後ろの痛みは原因によって治療方法が異なりますが、受診する際には「いつから症状が あらわれたのか」、「どんな風に痛いのか」、「他にはどんな症状があるのか」、を正確に伝え られるようにまとめておくとよいでしょう。
まとめ
以上のことより、急に起こる腰痛で特に気をつけなければいけない腰痛があることがわかっていただけたかと思います。
たかが腰痛、されど腰痛。左腰の痛みは体が発する大切なサインでもあります。筋肉の疲労にせよ内臓からくる症状にせよ、生活習慣をしっかりと見直すことで、深刻な状況をある程度防ぐことができるのではないかとおもいます。
少しずつでもいいので始められるところから生活習慣を見直していき、必要な場合は速やかに医療機関に相談しましょう。
京橋イノルト整形外科 院長 守谷和樹
- 久留米大学 医学部 卒業
- 福岡新水巻病院 研修医
- 福岡新水巻病院 整形外科
- 東京品川病院 整形外科
- 社会医療法人 美杉会 佐藤病院 整形外科
- 市立ひらかた病院 整形外科 副部長
- 日本整形外科学会専門医