腰痛で整形外科に行くべき理由について解説

腰痛は整形外科へ行ったほうがいいの?
整骨院や接骨院ではダメなの?

さまざまな原因が考えられる腰痛。腰痛になった時に整形外科や整骨院など、どこへ行くか迷う人も多いのでは ないでしょうか?腰痛の原因によって最適な治療方法は異なるため、腰痛原因の特定は重要ですし、最適な治療 への近道ともいえます。

今回の記事では、なぜ腰痛で整形外科へ行くべきなのか、整形外科へ行ったほうがいい症状、整形外科での腰痛 治療の内容などを解説していきます。

腰痛の分類

腰痛には「特異的腰痛」「非特異的腰痛」の2つに分類されます。「特異的腰痛」とはレントゲンや MRI などの画 像検査で原因が特定可能な腰痛で、脊椎疾患、内臓疾患、血管疾患由来の腰痛は「特異的腰痛」に分類されます。

「非特異的腰痛」とは画像検査では判別できず原因が特定できないため、「見えない腰痛」とも呼ばれます。非特 異的腰痛は「筋筋膜性腰痛」「椎間板性腰痛」「椎間関節性腰痛」「仙腸関節性腰痛」の4つに分類されており、整 形外科テストなどの検査法で原因の予測を行い、治療していきます。

腰痛は整形外科へ行くべきか?

腰痛になったらまずは整形外科へ行くことが賢明だといえます。腰痛の改善には痛みの原因を知り、適切な処置 が必要だからです。

腰痛の原因は腰の筋肉や筋膜、背骨の構造的問題だけでなく、内臓疾患や血管系疾患、婦人 科系疾患、菌感染などによる背骨の病気などさまざまで、なかには腹部大動脈解離(破裂)や化膿性脊椎炎、が んの骨転移など命の危険にかかわる疾患もあるため注意すべきです。

整形外科ではレントゲンや MRI などの画 像検査でさまざまな特異的腰痛を診断、治療できます。

痛みを緩和させるという点においても、薬や注射などは 整形外科などの医療機関でしか受けられません。腰痛の原因次第では整形外科の受診がベストな選択となります。

整骨院や接骨院はどうなのか?

整骨院や接骨院では画像検査や診断などの医療行為はできません。そのため、腰痛原因の特定は施術者の知識と 経験を活かした予測ということになります。

仮に内臓疾患由来の腰痛であった場合、原因がわからずに腰痛が悪 化していく、なんてこともありえます。腰痛治療は原因への適切なアプローチが不可欠であるため、まずは整形 外科で原因の特定を第一優先として考え、整骨院や接骨院は次の選択肢として検討することが望ましいです。

た だ、ギックリ腰などの急性腰痛では痛みの緩和目的で整骨院や接骨院を利用、その場での痛みの緩和という点で は効果的であるケースも多く、レントゲンなどの画像検査で原因の特定ができない非特異的腰痛は保険不適用の 自由診療となりますが、整骨院や接骨院の領域ともいえます。

こんな症状の場合は整形外科へ

以下の症状がある場合は整形外科の受診をおすすめします。 ・いつもと違う痛みの腰痛 ・安静にしていられないくらい痛みが強い腰痛 ・体勢を変えても痛みが変わらない腰痛 ・痛みが強くなってきている腰痛

  • 突然の激痛
  • 足の痛みや痺れ
  • 足の脱力感(足に力が入らない)
  • 歩きづらい
  • 足の痛みとしびれで長時間歩けなくなってきた(間欠性跛行)
  • 排尿、排便がしづらい
  • 腰痛のほかに気持ち悪さなど別の症状がある

足の痛みや痺れは神経障害の症状であるため、適切な治療がされないと、排尿排便障害など日常生活に支障を及 ぼす状態になってしまいます。

そのほか、内臓疾患や血管性疾患が原因の腰痛もあるため、まずは整形外科など の医療機関で診てもらいましょう。

整形外科での腰痛治療の内容

整形外科での腰痛治療は下記の内容が行われます。

  • 薬物療法
  • 運動療法
  • 神経ブロック療法
  • 手術療法

手術療法以外はすべて保存療法の中に含まれます。腰痛治療では基本的に保存療法が第1選択肢になることがほ とんどです。

各項目について解説していきます。

薬物療法

腰痛治療では原因や症状によって異なる薬が処方されます。炎症を鎮める作用のある消炎鎮痛剤の飲み薬、シッ プや塗り薬などの外用薬、筋肉の緊張をやわらげるための筋弛緩剤、神経の修復や機能回復を図るためのビタミ ン B12 の内服薬などさまざまな種類の薬があります。

運動療法

体操や軽い運動など身体を動かすことによって症状の回復を図る理学療法の1つです。腰痛の原因によって変わ りますが、安静期間が必要なければ、痛みのない範囲で動くことで腰痛からの回復が早まるといわれています。 内容は固くなりやすい筋肉のストレッチや動きが悪くなりやすい関節などの運動、弱体化が腰痛悪化をまねく筋 肉のトレーニングなどです。

神経ブロック療法

安静や運動療法、薬物療法で痛みに対する効果がない場合に行われる治療法です。神経に局所麻酔注射を打ち、 痛みの伝達をブロックします。痛みが長く続くと「交感神経系」が緊張して痛みを強めてしまう恐れがあり、予 想以上に腰痛の回復を遅らせる可能性があるためです。神経ブロック療法には、神経に直接注射をせずに神経周 囲に麻酔薬を注射するなどの方法もあります。

手術療法

神経ブロック療法でも効果が薄い場合や、足の麻痺など重篤な神経症状が出ている場合に用いられる治療法です。 腰椎分離症や腰椎すべり症などで適用される「脊椎固定術」、ヘルニアを摘出する「LOVE 法」や「PELD 法」、 椎間板の修復と再生治療法である「セルゲル法」など、疾患別にさまざまな手術法があります。

まとめ

日本人の多くが悩まされる腰痛。原因は背骨や周辺の筋肉と筋膜だけでなく、内臓や血管などさまざまな可能性

が隠れています。整形外科では画像検査を行えるため、危険な可能性を除外するという意味でも整形外科の受診 はおすすめといえます。医師は病態に合わせた最適な治療を選択してくれますので、一緒に治療を頑張っていき ましょう。