中々治らない五十肩の五十肩治し方や治療方法を解説

そもそも「五十肩」は俗称で、正しくは「凍結肩」や「肩関節周囲炎」と呼ばれています。

肩の周りに炎症が起きて、関節の痛みや動きが悪くなることを総じて「五十肩」といいます。

数日で治るものから、肩がガチガチに硬くなる場合もあります。中には「腱板断裂」といった腱の損傷が原因だったり、石灰がたまることもあります。

五十肩の原因

明らかな原因は不明ですが、 靭帯や腱、関節包、滑液包、骨、軟骨など肩関節を構成する組織に炎症が起きることで痛みや拘縮につながります。

このように、明らかな素因なしに発症する場合と、その他疾患に関連して生じる可能性があります。

また、老化など組織の変性により起こりやすいとも言われています。経年的な日常生活や仕事、趣味活動など、くり返す肩への負担や刺激により発症しやすくなります。

日常動作で肩を痛め炎症や不動が長引く場合や、姿勢不良や肩への負担が大きい場合、肩関節周囲炎につながりやすくなると考えられます。

広義の意味では、五十肩のように肩関節の炎症疾患を広く指す場合、上腕二頭筋腱炎・腱板炎など肩に関する疾患を含んでいる場合もあります。

狭義では、いくつか判別できる肩関節疾患を除外したものを指す場合があります。炎症が波及すると、痛みや安静による不動により関節包の拘縮と脆弱性が生じます。

また軽微な外傷は、炎症を慢性化します。

五十肩の症状

主な症状は、肩周囲の(稀に腕も)痛みと肩関節の運動制限です。それにより日常生活が障害されます。

痛みは日常の様々なタイミングで出現します。主に3つに分類できます。

安静時痛:安静にしている時に出る痛み

  • 椅子に座っている時に痛い
  • じっとしている時に痛い
  • 肩を動かさず何もしていなくても痛い

動作時痛:肩を動かした時に出る痛み

  • 手を上に挙げた時に痛い(棚の上に手を伸ばす・バンザイをする)
  • 手を後ろ・背中に回した時に痛い(スボンにベルトを通す)

夜間時痛:夜間、睡眠時に出る痛み

  • 肩が痛くて寝付けない
  • 肩が痛くて目が覚める

運動制限

  • 痛みや拘縮があり、肩が動かしにくくなります。
  • 高いところに手が届かない
  • 服の着替えが辛い
  • 洗髪がやり難い
  • 反対の脇に手が届かない

可動域制限(拘縮)は、特に肩関節の屈曲(上に挙げる)、外旋(外に開く)、内旋(手を背中に回す)が制限されていきます。

五十肩の経過

五十肩には、「急性期」「慢性期」「回復期」があります。発症してから3カ月の急性期は痛みが、とても激しい時期です。

その後1年ほどを慢性期といい、痛みは少しずつ治まりますが、肩が動かしにくくなります。発症から1年以上経過すると改善することもありますが可動域制限が残ってしまったり痛みが消えないこともあります。

急性期

一般的には症状が現れてから2週間程度が、違和感や激しい痛みと共に可動域が急速に低下します。この時期を急性期といい、この期間の痛みは筋肉を痙攣(けいれん)させてしまい、さらに痛みが強くなります。

そうなると、運動時だけではなく、安静時にも痛みが生じ、就寝時にも寝返りで目が覚めてしまうこともあります。

この時期は、炎症が起こっている時は患部を冷やし、炎症が治まっている時は患部を温めることが大切です。

医師にしっかりと診察をしてもらい、適切な手当をすることが大切です。

慢性期

急性期の2週間程度が過ぎた後は、痛みは和らいできます。しかし、その後、約半年程は肩関節の可動域が低下したまま慢性期となります。

この時期でも、夜に横になった時など、痛む肩への負担が強くなると痛みが現れることもあります。

就寝時に痛む時は枕を変えたり、クッションを当てたりすると負担を軽くすることができます。回復期にもこうした生活の工夫が必要です。

回復期

回復期になるかは症状の酷さで変わり一般的にはおよそ半年が過ぎた頃から、まだ少し肩にひっかかりなどの可動域制限が残るものの、痛みはほとんどなくなります。

徐々に肩も動くようになって半年ほどで自然回復をすることが多いのですが、この時期にあまり動かさないでいると、筋力も低下し、可動域が狭まったままになることもあります。その為、可動域を拡げるリハビリテーションが重要となります。

なかなか治らないのはなぜ?

五十肩がなかなか治らないのは、日常生活の中で痛みがある肩関節を無理やり動かさなければならないことが多いからです。

肩関節周囲炎になると、お風呂で頭を洗う時、車で運転席から後席に手を伸ばす時など、日常の様々な場面で痛みがあり、その都度炎症が悪化してしまいます。

結果的になかなか治らなくなってしまうのです。「五十肩は放っておけばそのうち治る」と思っている方は多いですが、適切な治療を行わないと動きの制限が残ると言われています。

したがって「五十肩は自然に治らない」と考えておくべきです。

五十肩は、上述のように肩関節周囲の組織に炎症がおきる疾患です。炎症をできるだけ早く収める処置をすることでその後の後遺症(肩関節の可動域制限)を少なくすることができます。

放っておくと、炎症が治るまでに長期間を要し、痛みを長引かせて不要な不便さを味わいますし、いつまで立っても小さい炎症が続く状態になってしまい、数年以上長引くことになりかねません。早めの診断と対処が大切です。

各時期別の治療

肩関節周囲炎は、時期を考慮した治療・対処が大切です。

炎症期

まず炎症を改善させることが最優先です。そのために、日常生活や仕事などで炎症が増悪しないよう無理をせず適切に安静することが必要です。 また、薬物治療で早期に炎症・痛みを軽減させることも大切です。痛みがあまりに強い場合は三角巾を使用します。

慢性期

痛みが軽減し運動制限(拘縮)が主体となる時期です。炎症が軽減しているため少しずつ運動(リハビリ)を行い、拘縮の増悪予防、改善を図ります。リハビリ後や日常で動かした際などに痛みが出る場合、内服を継続します。

回復期

回復に向けしっかりと運動することが必要になります。拘縮が残存しないよう注意が必要です。積極的に可動域改善のためのストレッチや、筋力強化などの運動療法を行います。

この時期は特に積極的なリハビリを行うことで回復が早くなります。運動療法による改善が乏しい場合には、手術療法を検討することがあります。

五十肩の治療法・治し方

薬物療法や内服、注射やリハビリテーションなどの保存療法が主体になります。

薬物治療

症状にあわせて炎症や痛みの改善を行います。改善することで拘縮の予防、日常生活が過ごしやすくなります。

内服

一般的に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などから行います。経口接種するだけでなく、湿布薬などの外用薬も用います。

注射

肩の関節内、肩峰下など主に痛みが強い場合に行います。

リハビリテーション

炎症、痛み、拘縮などを改善予防するために行います。薬物治療と併用する場合が多く、その反応や効果をみながらリハビリ内容を調整します。

可動域訓練、筋力訓練などの運動療法だけでなく、物理療法や日常生活指導も行います。

負荷や量、頻度が重要で、「無理やり・少なすぎ」では効果は薄れるだけでなく、逆に症状が増悪する場合があります。

切らない手術(サイレントマニュピレーション)

切らずにできる五十肩の手術があります。それは「サイレントマニュピレーション」です。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、「サイレントマニピュレーション」とは、「非観血的関節受動術」と訳され、縮んでしまった関節包を剥がし、肩の動きを劇的に改善する治療法です。

方法は、まず肩の感覚を支配する神経を麻酔薬で麻痺させます。超音波を用いて首の近く、もしくは鎖骨の近くの神経周囲に注射をしていきます。

その結果、痛みが抑えられ、肩を動かしても痛くない状態を作ります。硬くなった肩をしっかり動かして、可動域を拡げていきます。(マニピュレーション)。

縮んでしまった関節包を剥がし、肩の動きを劇的に改善することができます。

トリガーポイント指圧

トリガーポイントとは、指で押した際に感じる筋肉の硬さやしこりのことです。

これらのしこりは血流を妨げ、様々な痛みを引き起こす原因となります。このトリガーポイントを指圧することにより、筋肉のこりを和らげ、痛みを緩和します。

トリガーポイントはしこり自体が痛みを発生させるだけでなく、しこりのある部位以外の部分でも痛みを引き起こします。

肩関節は人体の関節の中で最大の可動域があり、多くの靱帯と筋肉で補強されています。加齢による変化や使いすぎなどによって、肩関節周囲に痛みを生じますが、その痛みを総称して「肩関節周囲炎」と呼びます。「五十肩」もこれに含まれます。

肩関節周囲炎は人によって原因が異なりますので、肩関節の後部だけではなく前部まで広範囲にトリガーポイントを探します。

複数個所にトリガーポイントが見つかることが多く、それぞれを指圧していくとで痛みの改善を図ります。

まとめ

大阪京橋イノルト整形外科では「五十肩外来」も行っており五十肩に特化した治療やリハビリがあります。

中々、治らない場合は当院へ一度お越しください。