整形外科での腰痛治療にかかる料金の目安について

腰痛治療はどのぐらいの料金がかかるの?
検査や手術にかかる費用はいくらぐらい?

さまざまな原因が隠れている腰痛ですが整形外科で治療する人も多いです。

整形外科では腰痛治療においても保険適用されますが、実際どのくらいの料金がかかるのでしょうか?

今回の記事では整形外科での腰痛治療にかかる料金の目安や、金額の算出法、手術の場合での料金目安などを解説していきます。

診療報酬について

診療報酬とは病院で行われた医療行為の対価として支払われるお金のことです。医療行為は全て点数が決められており、点数×10 円が診療報酬金額となります。

国民健康保険 (3割負担)などの健康保険証を提示することで、診療報酬金額の3割を会計時に支払うことになるわけです。

外来受診時にかかる料金

外来受診時では主に下記の項目で料金がかかります(健康保険3割負担の金額)

  • 診察料(基本診療料+指導管理料)1,200 円前後
  • 検査(画像検査では撮影料+診断料+電子画像管理加算)630 円~6,500 円
  • 治療・薬(注射や処方箋など)
  • 選定療養費(紹介状なしでの大病院受診時)初回 7,000 円

例えば、町の診療所での初回受診で診察とレントゲン検査(2枚撮影)だけが行われた場合、会計額は 2,000 円程度となります。

各項目について解説していきます。

診察料は「初診料」や「再診料」といわれ、初診料は 864 円(健康保険加入3割負担額) 、再診料は約 220 円(健康保険加入3割負担額)です。指導管理料は疾患ごとに料金が異なります。

腰痛では主にレントゲンや MRI 検査などの画像検査が行われ、診断料と画像管理料が加算されます。検査ごとに料金が異なるため、詳細は後述します。

腰痛では注射やリハビリなどの治療や内服薬などの処方が行われます。 ちなみにリハビリは 20 分で 540 円です。

病床 200 床以上の大病院受診で紹介状がない場合にかかる料金です。初診時は 7,000 円、再診時は 3,000 円が加算されます。選定療養費は保険適用にはならず、全額負担となるため注意しましょう。

腰痛に対して行われる主な検査とおおよその料金

腰痛で整形外科を受診した際に行われるのは下記の検査があります。

  • 単純 X 線検査(レントゲン検査)
  • MRI 検査・CT 検査

各項目について解説していきます。

単純 X 線検査は放射線を使用しますが、放射線の被ばく量が最小限で済む短時間の検査です。単純 X 線検査では主に骨折や骨の変形がわかります。

単純 X 線検査は健康保険3割負担で 171 円です。 これに診断料と電子画像管理加算がプラスされると、 630 円程度となります。特殊撮影や造影剤使用の撮影は少し料金が上がり、単純 X 線検査の2枚目以降は半分の料金です。

MRI 検査は強力な磁力と電波を使用した検査で、神経や軟骨、筋などの状態がわかります。検査時間は 20~30分程度で、レントゲンや CT 検査とは違い放射線による被ばくはありません。

磁場を用いた検査となるためペースメーカー等の金属が体の中にある人は撮影不可です。

検査装置内も狭いため閉所恐怖症や長時間検査台に寝ることが難しい場合も検査ができないケースがあります。

MRI検査は健康保険3割負担で4,860 円です。

これに診断料と電子画像管理加算がプラスされると、6,500 円程度となります。

CT検査は放射線を使用した検査で、検査時間はMRIよりも短時間である場合が多いです。単純X線検査よりも放射線の被ばく量が多いですが、空間分解能力が高いためレントゲンよりも細かい部分がわかる検査です。

CT検査は健康保険3割負担で 3,060 円です。これに診断料と電子画像管理加算がプラスされると、4,700 円程度となります。

手術の場合にはどのぐらいの料金がかかるのか?

外科的手術を行う可能性がある主な腰痛疾患には下記があります。

  • 腰椎椎間板ヘルニア
  • 腰部脊柱管狭窄症
  • 腰椎圧迫骨折

どれも重症の場合は外科的手術が検討され、病態によって手術方法も異なります。手術によっては保険適用されない種類もあるため医師や看護師さんに確認しましょう。

おおよその手術料金も含めて各項目について解説していきます。

腰椎椎間板ヘルニアとは椎間板を潰すような強い圧力や加齢による椎間板の水分喪失などが原因で 背骨を構成する椎間板内部の髄核(ずいかく)という組織が一部飛び出し神経を圧迫している病態です。

腰椎椎間板ヘルニアには髄核を囲む繊維輪という組織に亀裂(ヒビ)が入り髄核が外へ飛び出してしまった「脱出型」や繊維輪に亀裂が無く髄核と繊維輪が一緒に飛び出た「膨隆型」などいくつもの病態があります。

腰椎椎間板ヘルニアで行われる主な手術とおおよその料金(3割負担金額)は下記の通りです。

  • MED(内視鏡下腰椎椎間板摘出術)250,000~300,000 円。入院期間 4~6 日程度
  • FED(FESS / PED) (完全内視鏡下腰椎椎間板摘出術)200,000~250,000 円。入院期間 3~4 日程度
  • PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)385,000 円~825,000 円(保険適用不可)。入院期間半日~1日(h3)腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症は神経が通っている腰部の脊柱管が狭くなることで腰痛や痺れなどの神経症状が出る疾患です。

主な原因は加齢による椎間板の変形や周辺にある靭帯の変性といわれます。痛みよりも痺れが出るケースが

多く、腰痛も軽いといわれますが、歩くと足のしびれや痛みが起きて休憩で回復する、間歇性跛行(かんけつせいはこう)と呼ばれる症状が出ます。

腰部脊柱管狭窄症は自然治癒が見込めず、時間経過と共に病気が進行していく疾患であるため、すぐに手術に至るケースもあります。

腰部脊柱管狭窄症で行われる主な手術とおおよその料金(3割負担金額)は下記の通りです。

  • MEL(内視鏡下腰椎椎弓切除術)250,000~300,000 円。入院期間 4~6 日
  • FEL(FESS) (完全内視鏡下腰椎椎弓切除術)200,000~250,000 円。入院期間 3~4 日
  • ME-PLIF/TLIF(内視鏡下腰椎椎体間固定術)600,000~700,000 円。入院期間 8~10 日
  • XLIF(内視鏡下腰椎側方椎体間固定術)750,000~850,000 円。入院期間 8~10 日

腰椎圧迫骨折は腰椎(腰部分の背骨)が外部からの圧力によって折れたり、つぶれたりすることです。

腰椎圧迫骨折の原因は「骨粗しょう症」 「外部からの強い衝撃」 「悪性腫瘍の転移」ですが、骨粗しょう症が最も高いリスクのため、男性よりも女性に多い疾患の1つです。

腰椎圧迫骨折は強い痛みを感じる疾患ですが高齢者の場合は痛みを感じないことも多いため気づかずに放置してしまうケースもあります。

  • PLIF(腰椎後方椎体間固定術)200,000~300,000 円。入院期間 10~21 日
  • TLIF(片側進入腰椎後方椎体間固定術)450,000~550,000 円。入院期間 12~14 日
  • PVP、BKP(経皮的推体形成術)300,000~360,000 円。入院期間 7~8 日

まとめ

整形外科では保険適用範囲である腰痛治療。医療行為の内容によって料金はかなり変わってきます。医療行為は診療報酬として統一されているため、病院ごとの料金の差異はほぼありませんが大病院は選定療養費などがあるためまずはお近くの診療所の受診を検討しましょう。

医師は病態に合わせた最適な治療を提案してくれますので一緒に治療を頑張っていきましょう。