変形性膝関節症の治療についてとことん解説します!

変形性膝関節症の治療について解説

膝が痛い!という訴えは中年以降の女性に頻繁に聞かれる悩みです。始めは長時間歩くと少し痛む程度だったのが、徐々にと立ち上がり動作でも痛みを感じるようになり、最後には寝ていても膝の痛みを感じるようになってきます。

膝の痛みが強くなってくると手術を勧められる、と考えている方も多いかもしれませんが、手術だけが変形性膝関節症の治療方法ではありません。今回はそんな変形性膝関節症の治療方法についてご説明します。

変形性膝関節症とは?症状

変形性膝関節症は、 一次性(原発性)のものと二次性(続発性)のものに分けられます。一次性は、明らかな原因がなく、加齢や慢性的な刺激によって発症するものを指します。二次性(続発性)は、外傷や炎症性・代謝異常疾患などに伴って発症するものを指します。変形性膝関節症の多くは、なんらかの原因で徐々に進行する“一次性”の変形性膝関節症になります。

変形性膝関節症に伴う症状で、最も頻度が高く、最も患者様を悩ますのは、「膝の痛み」です。膝の関節の軟骨の質が低下し、少しずつすり減り、歩行時に膝の痛みが出現する病気です。平地での歩行は大丈夫でも、階段で膝が痛いために困っている、歩行時の膝の痛みはないけれど、正座は膝が痛くてできない、などが初期の変形性膝関節症の症状としてよく訴える方が多いです。

一般的には、中高年(50歳以上)の女性に多く、こわばり感から始まり、徐々に正座、しゃがみ込み、階段昇降などで膝が痛むようになります。進行していく過程では、就眠時や安静時にも痛みを感じることがあったり、膝を完全に伸ばすことが困難となったりします。また、進行すると外観上はO脚に変形します。

やがて階段のみでなく平地での歩行にも支障をきたすようになります。日常生活上で支障をきたすようになると、変形性膝関節症も重度になり、手術療法なども検討する必要性が出てきます。症状として「膝の痛み」、「歩きにくさ」、そして「日常生活に支障をきたす」のが変形性膝関節症の特長です。

変形性膝関節症の診断

膝の痛みで医療機関を受診すると、問診や診察、時に触診で膝内側の圧痛の有無、関節の動きの範囲、腫れやO脚変形などの有無を調べ、X線(レントゲン)検査で診断します変形性膝関節症の進評価します。この際、よ膝関節症の治療

変形性膝関節症の治療法には大きく分けて、手術をせずに運動や薬で症状を緩和させる保存療法と手術療法の2種類があります。変形性膝関節症の初期で、比較的痛みが軽いときは保存療法にあたる運動療法と痛みへの対症療法の基本となる薬物療法が適応される場合が多いです。

保存療法を数ヶ月続けても効果がなく、さらに膝の痛みや変形が悪化している場合は、手術療法が検討されます。

運動と薬物による治療(保存療法)

手術以外で効果が証明されている方法には、リハビリでの運動療法があります。膝関節を保護する役割がある筋肉(大腿四頭筋:太ももの筋肉)を鍛えたり、関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行ったり、膝を温めたりする物理療法を行います。足底板(靴の中に入れる中敷きのようなもの)や足・膝装具を作成することもあります。

変形性膝関節症の炎症と痛みを抑える方法に有効な薬は、現在の病気の状態を正しく理解しその状態に合わせて用いることが重要です。主に消炎鎮痛剤、痛み止めの内服薬、ヒアルロン酸の関節内注射が用いられます。

手術による治療(手術療法)

変形性膝関節症が進行してしまい、思うように歩くことができない、歩けても痛みを我慢しながら歩かざるを得ないなどの場合で、手術が最善の方法と判断した場合には、手術による治療を行います。国内では年間かなり多くの方が人工膝関節置換術を受けています。

手術の方法は、上述の人工膝関節置換術があります。金属と摩耗した軟骨の代わりとなる特殊なプラスチックにより膝関節を全体的に置換する(置き換える)方法(人工膝関節全置換術:TKA)や関節鏡(内視鏡)手術、関節を置換せず温存する方法として高位脛骨骨切り術があります。

人工膝関節置換術の最大のメリットは、痛みが取れ、日常生活であれば問題なく送ることができることです。膝、腰への過度な負担さえ避ければ、ゴルフやゲートボールなどのスポーツや旅行、ショッピングなど活動的な趣味も再び楽しめるようになります。 また、O脚に変形した足が真っ直ぐに戻ることから美観の点でのメリットもあります。

まとめ

膝が痛いからすぐに手術ということではなく、レントゲンなどで膝関節の状態を見極め、初期であれば運動療法や薬物療法などの保存療法が選択される場合があります。膝関節の変形と痛みが強くなり、歩くことがままならなくなった場合に手術療法が検討されます。