日本整形外科学会の調査では腰痛症状を訴える人が約3,000万人いると推計されています。腰痛といっても、痛みを感じる場所はそれぞれ異なり、腰痛が片側だけ発生する方も多くおられ ます。
特にこの痛みが右に偏って出る腰痛には見逃してはいけない病気が隠れていることもあるので注意が必要です。
右側だけ腰が痛くなる理由
右側だけ腰が痛い理由は大きく2つに分かれます。これらから発生する腰の痛みは「痛みがどんな時に出るのか」「痛みの他に症状があるか」という点がポイントになります。
日常動作や姿勢の歪みからくる痛み
私たちは日常生活の中で、身体の使い方に偏りがあることがほとんどです。カバンをかける肩 がいつも同じ 、椅子に座って足を組みやすい方で組んでいる 、立っている時に片側に重心を 乗せているなど、日常生活において身体を歪ませる動作が多くあります。
もし、日常的に右腰 に負荷がかかる動作が癖になってしまい、体が歪んでしまうと結果として右の腰だけに痛みが発生します。
腰痛が重度になってくるとぎっくり腰を引き起こすこともあります。ぎっくり腰は筋肉が炎症を起こした状態になるので、痛みが強く現れます。
筋肉からくる腰の痛みの特徴は、身体を動かした時だけに痛みが発生し、安静時には痛みは収 まる傾向があります。
これらの腰痛はストレッチや生活習慣の見直しをすることで改善が期待できます。
神経の圧迫による痛み
椎間板ヘルニアを発症すると、片側の腰だけに痛みが出ることがあります。椎間板ヘルニアは背骨を構成する骨と骨の間にある椎間板と呼ばれる部位の一部が飛び出してしまい、神経を圧迫し痛みを生じさせます。
神経は腰椎の左右からでており、右の神経根を圧迫している場合、右腰に激しい痛みを感じます。臀部や下肢に痛みやしびれなどの症状が出ること(坐骨神経痛) も多いですが、腰の痛みだけしか感じないこともあります。
神経を圧迫されることによる痛みは筋肉に問題がある場合より症状としては重いことが多いで す。
椎間板ヘルニアが原因で腰が痛む場合はストレッチをしても痛みが改善されないことが多いためその場合は整形外科を受診することをおすすめします。
内臓からくる腰痛
内臓に問題がある場合、動作時に腰が痛むというよりはじっとしていたり、安静にしていると きに痛みがでやすいです。
常に痛みを感じていたり、痛みが日に日に強くなるような場合、更に倦怠感、発熱、吐き気、むくみ等の症状が併発している場合、早めに病院での検査を受けましょう。
腎臓からくる腰痛
右の腎臓は左より少し低い位置にあるため、感染症や炎症を起こしたときに下がりやすくなっており、右腰後ろの痛みを引き起こすことが多くなります。
腸内に生息する大腸菌などの細菌が腎臓に入り込むと急性腎盂腎炎を発症します。発熱を生じ腰が重だるく、腎臓付近をたたくと痛みを感じる叩打痛があります。
またその他にも、腎臓に 石があると腰が痛みます。腎臓の石は腎臓結石と呼ばれ、尿中の余分なミネラルや塩分が固ま ってできたものであり、この結石が尿管(腎臓から膀胱に尿を運ぶ管)に詰まると、右腰後ろや 背中、下腹部、鼠径部に激しく鋭い痛みを生じ、一般的な腰痛とは異なる痛みを発することが あるのが特徴です。
また、腎臓が本来あるべき位置よりも下がった状態になることで腰痛を引き起こすことを遊走腎といい、内蔵を固定する筋肉が弱いと発生しやすいため、やせ型の女性 に多くみられます。
その他右腰の痛みと同時に排尿時中の痛み、発熱、濁った濃い尿、悪臭のする尿などの症状が ある場合は腎臓の病気がうたがわれますので速やかに尿器科を受診しましょう。
肝臓からくる腰痛
肝臓は身体の右側に位置しているため、肝臓に炎症が起こると肝臓の痛みとして右の腰に痛み を発することがあります。
腰のやや上のあたり、肩甲骨のやや下の辺りに安静時でも持続性の鈍痛を感じるようなら肝臓からきている腰痛の疑いがあります。
加えて全身の倦怠感、食欲不振、むくみ、お腹の腫れ、意識障害、めまい、吐血、黄疸(皮膚 や白眼が黄色くなること)脂肪便の症状がないか気をつけて下さい。
右腰に痛みがあり、加え てこのような症状があるときは消化器内科に相相談しましょう。
女性特有の症状からくる腰痛
子宮筋腫、子宮内膜症、月経前症候群(PMS)を発症すると右腰後ろが痛むことがあります。 激しくぎっくり腰のような痛みが特徴です。
子宮筋腫は子宮に発生する良性腫瘍ですが腫瘍によって直腸や骨盤の神経が圧迫されると腰に痛みがでます。
子宮内膜症は子宮内膜の細胞が異常増殖する病気で、子宮内膜が炎症を起こしたり、他の組織と癒着してしまい腰の痛みを引き 起こします。また、月経前症候群(PMS)に伴う心身の不調として腰痛が発生することもあります。
右腰が痛む以外に月経異常、性交時痛や下腹部の痛み、吐き気、倦怠感、下痢、頭痛、 失神などのような症状がある場合は、婦人科を受診してください。
まとめ
右腰だけに痛みがあると何か病気ではないかと心配になりますが、その場合には多くの原因が考えられます。今回、右側だけ痛む腰痛から考えられる原因をいくつか紹介しましたが、これらはあくまでも傾向ですので簡単な目安として活用ください。
しかし、以上の症状の中には早急に治療を必要とするものもあり、特に痛みが激しく突然発生したり、他の症状を併発する場合は注意が必要です。
症状を早く改善するために速やかに医療機関に相談しましょう。
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