変形性膝関節症で術後の入院や入院期間はどうなる?
変形性膝関節症は、炎症や痛みなどの症状が出る疾患です。早急に手術という訳ではなく、重症度や進行具合により変わってきます。実際に手術となると、どれくらい入院しないといけないのか?どんな手術をするのか?様々な不安があると思います。少しでも参考になればと思います。
Contents
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症とは、膝関節の軟骨の質が低下し、少しずつすり減ってしまい、歩行時に膝の痛みが出現する病気です。階段で膝が痛かったり、膝が痛くて正座ができないなどの症状があります。進行すると日常生活にも支障が出てきます。筋力をつけることで痛みの軽減や予防を図りますが、重度の場合は手術が必要となることがあります。
変形性膝関節症の進行度
変形性膝関節症は、X線検査(x-ray)にて診断されます。X線により大腿骨と脛骨に注目して膝の状態を確認します。特に大腿骨と脛骨の隙間・O脚やX脚・骨棘(異常に突出した骨)が形成されているかどうかがポイントです。これを参考にしてKellgren-Lawrence(ケルグレンローレンス)分類で分けて、変形性膝関節症の進行度合いが決まります。また、手術を行なう目安になります。
Kellgren-Lawrence(ケルグレンローレンス)分類
グレード0:大腿骨と脛骨の隙間が十分にある。
グレード1:骨棘のほか、骨が異常に固くなる骨の硬化がみられる。
グレード2:関節の隙間が狭くなりますが、正常の2分の1以上の隙間が残る。
グレード3:関節の隙間がさらに狭くなり、正常の2分の1以下になる。
グレード4:関節の隙間が消える。また、明らかな骨棘の形成が見られる。
変形性膝関節症の3つの手術方法と入院期間
手術方法には主に3種類あります。ここでは、手術の種類や特徴、入院期間、費用などをご紹介します。また、入院期間や費用などは、おおまかな目安になりますのでご注意下さい。
関節鏡視下手術
関節軟骨の破片や損傷した半月板を取り除くことで痛みを軽減し、膝を動かしやすくする手術です。膝に数カ所、1cm程度の穴を開け、そこから内視鏡(関節鏡)を挿入し、そのカメラの映像を見ながら治療を行ないます。
注意点
- 変形性膝関節症の初期で痛みや変形の程度が軽い方
- 術後早期に通常の生活に戻れること
- 注意点はあくまで対症療法(根本的な治療ではない)ということ
入院期間
1週間程度
費用
3割負担の場合は、5万円。2割負担の場合は2万円(目安)
脛骨骨切り術
脛骨骨切り術は、関節内視鏡手術で症状の改善が期待できないときに検討します。脛の骨の一部を膝の関節近くで切って、傾きを修正する手術です。脛骨骨切り術はご自身の関節を温存できるのが大きな特徴です。しかし、骨が結合するまで経過をみる必要があります。
注意点
変形性膝関節症の初期から中期の方/比較的若い方
術後の活動性が期待できること(スポーツの再開も可能)
骨の結合経過をみるため、入院期間やリハビリが比較的長いこと
入院期間
4週間程度
費用
3割負担の場合、10〜12万円。1割負担の場合、3〜4万円(目安)。
人工関節置換術
変形してしまった関節の表面を、人工的な部品に置き換える手術です。
疼痛の大幅な改善が期待できますが、正座や激しい運動は難しくなります。また、人工関節の耐用年数は15〜20年のため、再手術を考えた場合、若く活動的な方には不向きです。対象としては、比較的ご高齢(70歳以上)で、活動性の低い方が良い適応となります。
注意点
対象は変形性膝関節症の末期で痛みや変形の程度が激しい方
ひざの痛みや骨の変形の大幅な改善が期待できること
術後は正座など日常生活動作の制限が出ること
入院期間
手術内容により異なるが、2週間〜2ヵ月間
費用
3割で24万円程度、1割だと8万円程度(目安)。
変形性膝関節症 術後の生活で気を付けること
日常生活でも膝の負担をかけないように生活することが大切です。気を付けることを以下に列挙します。
洋式の生活に切り替える
しゃがんだ状態から立ち上がる動作が多い和式の生活は、ひざに大きな負担がかかります。トイレなどは改修しなくても便座をかぶせる簡易的な対応も可能です。ご検討ください。
ひざへの負担を減らす生活上の工夫
・椅子とテーブルの生活に切り替える
・ベッドを使うようにする
・重い荷物を持たないようにする
荷物を運ぶときの注意点
・車輪付きのショッピングカートやキャリーバックを利用する
・片手で持ち続けないで、適度に持ち変える
・ひざが安定する靴を選ぶ
靴選びのポイント
・かかとが低い靴を選ぶ
・靴底のクッション性のある靴を選ぶ
・踵が高い靴は膝の負担が多いため避ける
冷え予防の具体的な対策
・ロングスカートやズボンをはく
・市販のサポーターでひざを保護する
・入浴で全身の血流を良くする