しっかり予防!変形性膝関節症に対するストレッチを解説

変形性膝関節症に対するストレッチを解説

変形性膝関節症は、痛みや歩きにくくなるなど日常生活での困りごとが多くなる疾患です。病気の予防や進行を緩やかにするためには、運動が有効とさ れています。今回は変形性膝関節症に効果的なストレッチや運動をご紹介していきます。

変形性膝関節症とは?

加齢により膝の軟骨が少しずつ減少することで、変形したり骨がこすれたりした結果、炎症を起こし痛みが出てしまう病気です。 

末期になり、骨の変形も見られるようになると、足の形が変わってしまうため、より歩きづらくなり、日常生活にも支障が出てきてしまいます。

変形性膝関節症は、50歳代以降の中高年の2⼈に1⼈が罹患しているといわれており、⼥性に多い傾向があります。

なぜ変形性膝関節症には運動がよいの?

変形性膝関節症の予防や進行を緩やかにするには、運動が効果的だとされています。

筋肉鍛えることで膝の負担が軽減する

膝の関節を支えているのは、靭帯と筋肉です。靭帯は切れてしまったり、伸びたりして痛めてしまうと、自然に治癒することが難しいのです。ですので、膝を守るにはその周りにある筋肉を鍛えることが大切です。変形性膝関節症でも、筋肉を鍛えることで膝の負担を減らすことができます。

ストレッチで膝関節の可動域を広げる

膝関節は日常生活で大きく動かす関節です。変形性膝関節症になると関節が曲げづらくなったり、完全に伸ばすことが難しくなります。

症状を悪化させないためには、ストレッチや筋肉トレーニングで関節の動きを維持していく必要があります。

変形性膝関節症の痛みを予防するには?

では、変形性膝関節症の痛みを予防、悪化させないためにはどのような方法がよいのでしょうか?

日常生活に有酸素運動を取り入れよう

後述するストレッチや筋力トレーニングに加えて、散歩などの有酸素運動も有効です。日常生活の中で歩く機会を増やして、体力の低下を防ぎましょう

30分程度の運動を、週2回程取り入れていきましょう。少し疲れる程度の心地よく歩ける距離を歩くようにしましょう。

その他、

  • ラジオ体操
  • 太極拳
  • スイミング
  • ゲートボール

などゆっくりマイペースにできる運動もおすすめです。

変形性膝関節症の人が気をつけたい日常生活動作

変形性膝関節症は変形や痛みがあっても、工夫により生活がしやすくなります。

万歩計を利用して症状を観察しよう

日頃から万歩計などを利用しましょう。痛みが強くなった場合は、前日の歩数がどのくらいだったかを確認し、自分に最も合った歩数を把握するようにしましょう。

膝が腫れたり、熱をもったりする場合は、炎症が起こっているサインですので、早めに整形外科を受診しましょう。

動き始める前には軽く準備運動

動き始める前に軽く足踏みをしたりして、足を動かすようにするとよいでしょう。また、起き抜けには、布団の上で足を曲げ伸ばししてから動き始めるとよいでしょう。

日常生活の工夫

痛みがある側と反対の手に杖を持 つと有効です。階段の昇りは痛くない足を先に、 降りは痛い方を先に出しましょう。

長時間の正座などを無理やり行うと、痛みが強くなることがあります。座敷での冠婚葬祭や行事などに参加する場合は、事前に椅子を準備してもらうなどお願いしておきましょう。

自宅でできる!変形性膝関節症に対するストレッチと筋力トレーニング

自宅でも簡単にできるストレッチや筋肉トレーニングを紹介します。

ストレッチや運動を行う上での注意点

  • 痛みや辛さを感じる強さのストレッチは逆効果です。
  • 痛みのない側も同様にストレッチを行いましょう。
  • ストレッチは呼吸を止めずに無理のない回数でゆっくりと行いましょう。 
  • 動きが悪い方や痛みが強い方は、理学療法士や医師にご相談ください。

太ももの裏を伸ばすストレッチ

座って行う方法

  1. 足を伸ばした状態で座ります。
  2. 背筋をまっすぐに伸ばしたまま、上体を前に倒して、姿勢を保持します。
  3. ストレッチの時間は約20〜30秒を1〜2回おこないましょう。

腰が曲がらないように注意しましょう。

仰向けで行う方法

  1. 仰向けの状態で膝を伸ばしたまま、足をあげます。
  2. 太ももの裏に手を添えて、もも裏が気持ちよく伸びるところまであげます。
  3. ストレッチの時間は約20〜30秒を1〜2回おこないましょう。

椎間板ヘルニアや腰痛などで、太もも裏やおしりに痺れがある人は無理をしないようにしましょう。

ふくらはぎの筋肉を伸ばすストレッチ

  1. 手すりや椅子の背もたれを持ちます。
  2. 足を前後に開き、前に出ている足の膝をゆっくり曲げます。
  3. 後ろ側の足は曲げずに、ふくらはぎを伸ばします。
  4. ストレッチの時間は約20〜30秒を1〜2回おこないましょう。

 後ろ側の踵を床から離さないようにしましょう。

太ももの内側を伸ばすのストレッチ

  1. 仰向けに寝て片方の膝を立てます。
  2. 立てた足をゆっくり外側へ倒し、太ももの内側を伸ばします。
  3. ストレッチの時間は約20〜30秒を1〜2回おこないましょう。

太ももの前側の筋肉を伸ばすストレッチ

  1. うつ伏せに寝ます。
  2. 伸ばしたい側の膝を曲げ、足首や足先をつかみます。
  3. かかとをお尻に近づけるように膝を曲げ、太ももの前側を伸ばします。
  4. ストレッチの時間は約20〜30秒を1〜2回おこないましょう。

背中が曲がっていてうつ伏せが難しい場合は、無理をしないようにしましょう。

太ももの前の筋肉を鍛える

床に座って行う方法

  1. 足を伸ばして座ります。もう一方の足は膝を立てておきます。
  2. 伸ばしている側の膝の下に折りたたんだタオルを置きます。
  3. 3秒〜5秒間、膝の裏でタオルをつぶすように押しつけます。
  4. 両方行います。1セット10回〜15回、2〜3セット行います。

 イスに座って行う方法

  1. イスに浅く腰掛け、両手で座面を握ります。
  2. 膝がまっすぐになるまで足を持ち上げてゆっくり下ろします。
  3. 両方行います。1セット10回〜15回、2〜3セット行います。

太ももの外側の筋肉を鍛える

  1. 横向きに寝ます。
  2. 下側の足は少し曲げてバランスをとります。
  3. 上側になっている足を、伸ばしたまま真上に持ち上げます。
  4. 両方行います。1セット10回、2〜3セット行います。

太ももの裏とお尻の筋肉を鍛える

  1. 仰向けに寝ます。
  2. 両方の膝を90度に曲げて立てます。
  3. 膝とお尻と胸が一直線になるようにお尻を持ち上げ、ゆっくり戻します。
  4. 1セット10回、1〜2セット行います。

足全体の筋肉を鍛える

  1. 両手をイスの背もたれやテーブルに置きます。
  2. 足を肩幅くらいに広げて立ち、つま先は少し外側に向けます。 
  3. 足をゆっくり曲げてお尻をおろし、ゆっくり戻します。 この時、背中が丸くならないように気をつけましょう。
  4. 1セット10回、1〜3セット行います。

膝が痛いからといって動かさないでいると、さらに筋力が低下し、関節も硬くなってしまいます。悪循環を断ち切るためにも、無理ない範囲でストレッチや運動を始めてみましょう。

痛みで上手くできない、どんな運動をすれば良いかわからない時は、整形外科やリハビリテーション科で相談するとよいでしょう。