変形性膝関節症に効くサプリメントで普段から対策を

変形性膝関節症に効くサプリメントについて

変形性膝関節症の膝の痛みで悩んでいる方は大変多いです。テレビや雑誌を見ていると膝関節に良いとされる市販のサプリメントがたくさん販売されています。魅力的なCMを見て、「試してみようかな?」と一度は考えたことがあるのではないでしょうか。ここでは市販のサプリメントの有効性についてご紹介していきます。

市販のサプリメントは効果がある?!

多くの膝の痛みで悩む方が、痛みを緩和し、膝の機能を改善しようとして、グルコサミンやコンドロイチンなどが含有されるさまざまなサプリメントを、単独または併用で試していると報告されています。しかし、残念ながら、市販のサプリメントが変形性膝関節症の症状をやわらげ、変形性関節症の病態の改善に有用であるという説得力のある科学的根拠(エビデンス)はないのが現状です。

多くの市販のサプリメントは、製造している会社、もしくは販売している会社や第三者機関で独自の効果検証の研究を行った上で販売されていることが多いですが、実際のところ、質的・量的にも十分なデータが不足している状態です。専門家から見ると、説得力のある科学的根拠に乏しい場合がほとんどです。

特に市販のサプリメントによく配合されているグルコサミンやコンドロイチンは、”厚生労働省「統合医療」に係る 情報発信等推進事業【eJIM】”サイト内で、以下のように記載されています。

”グルコサミンとコンドロイチンのサプリメントの有効性について”

  • コンドロイチンは変形性膝関節症または変形性股関節症の痛みに有効ではないことが研究結果から示唆されています。
  • グルコサミンが変形性膝関節症の痛みに有効かどうか、また、グルコサミンとコンドロイチンのサプリメントがそれぞれ他関節の変形性関節症の痛みを軽減するかどうかは不明です。

一部引用)https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/21.html

知っておくべき、プラセボ効果(偽薬効果)

しかし、お住まいの地域のご近所の方で「市販のサプリメントを飲んで膝の痛みがましになった!」という話を聞かれたことがある方もいらっしゃると思います。「明確な科学的根拠がないのに、なぜ膝の痛みが改善するの?」と思われるでしょう。

ここで知っておいて頂きたいのは、「プラセボ効果」というものです。有効成分が含まれていない薬剤(偽薬、プラセボともいわれる)によって、症状の改善がみられることをプラセボ効果、またはプラシーボ効果・偽薬効果とも呼ばれます。 プラセボ効果が起こる理由は明らかになっていませんが、暗示や自然治癒力などが背景にあると考えられています。

もちろん断定はできませんが、「これを飲めば痛みがましになる」とか、「高価な薬だから効くに違いない」と信じている方で、一時的に膝の痛みが改善したように感じる方がいても不思議ではありません。ただし、それが私達に同じような効果があるか?というと確証はありません。

本当に効果がある変形性膝関節症の治療方法は?

市販のサプリメントに明確な科学的根拠がないとなると、どんな方法で膝の痛みに対処すると良いのでしょうか。結論から述べると、診療所や病院で行っている、保険適応の治療方法が最も安心で有効です。多くの病院が、効果が高く、安全性が高く、科学的根拠が確立しているものを治療法として取り入れています。

また、医療の標準化(全国どこの診療所・病院でも同じ高レベルの医療が受けられるように)を国も推進しており、変形性膝関節症の治療方法について、世界中の研究結果を集め、解析し、効果があり、安全であることが証明されていることを示す「ガイドライン」という骨子が制定されています。診療所や病院はこれらをもとに治療方針を決定しているため、安全性が高く、最も効果が高い治療法を行っているのは病院や診療所です。

また、市販のサプリメントは保険が適用されず高価であり、さらに何ヶ月、何年と飲み続ける必要があると謳う場合が多いですが、保険診療である病院や診療所では安価に高品質の治療を受けることができます。費用の面から考えても大変お得です。

まとめ

変形性膝関節症に対して、市販のサプリメントは十分な科学的根拠がないものが多いです。プラセボ効果によって一時的に症状が改善したように感じる場合もありますが、変形性膝関節症の病態は軟骨や骨の変形なので、サプリメントだけで根本的な解決になることはなく、治療にはなりえません。

サプリメントを飲用することは個人の自由の範囲であり、否定はしませんが、基本的には病院を受診し、ガイドラインに沿った診断を受け、標準的な治療を受けるのが望ましいでしょう。