【初回検査後】骨粗鬆症の状態を丁寧に説明します
骨粗鬆症の初回検査の結果説明時の実際の風景です。丁寧に検査結果をお伝え致します。また、その後の治療方針も相談しながら、丁寧に説明致します。
オリジナル骨粗鬆症パンフレットをプレゼント!
骨粗鬆症検査を受けて頂いた方限定で、総院長渾身の1冊10ページにわたる骨粗鬆症全治療を網羅したオリジナルパンフレットを無料プレゼントしています。
骨密度で安心するにはまだ早い!「骨質」とは?
骨密度が正常でも、軽い骨折がある場合、病院では「骨粗鬆症」と診断されます。それはなぜでしょうか?
実は、骨粗鬆症は、骨密度と「骨質」によって診断されます。骨密度が正常でも骨質が低下していれば骨粗鬆症の可能性があります。
骨の強度は以下のような式で表せます。
- 「骨強度=骨密度+骨質」
つまり、骨強度を100%とすると
- 「骨密度70%+骨質30%」
となります。
従って大腿骨・腰椎の骨密度検査だけでは30%の骨粗鬆症患者は見逃されてしまうことになります。さらに、手首での骨密度検査では大腿骨・腰椎骨密度検査より約20%骨粗鬆症を見逃しているという報告もあります。
骨質も考慮すると、実に半数近く骨粗鬆症と診断できずに見逃していることになります。
骨粗鬆症の3つのタイプ
実は、骨粗鬆症には3つのタイプがあります。
- 骨密度低下型 50%
- 骨質劣化型 30%
- 混合型(骨密度低下+骨質劣化) 20%
骨密度が低下しているタイプの骨粗鬆症は全体の70%、骨質が劣化しているタイプの骨粗鬆症は全体の50%、骨密度が低い骨粗鬆症の場合でも30%は骨質が劣化しているとの報告があります。
骨粗鬆症の30%は骨質劣化型で、骨密度が正常なため、見逃されている可能性が高くなります。
骨質を評価する「海綿骨構造指標(TBS)とは?」
当院が独自で導入したシステム「海綿骨構造指標(TBS)」により、骨質を評価することができます。骨粗鬆症を見逃しにくくなります。
腰椎(背骨の腰部分)の赤くなっている部分が骨質が低下している部分です。骨質劣化を認めた場合は、骨質改善薬を処方します。
※現在、TBSは保険適応となっていませんが、無償で提供しています。
”いつの間にか骨折”(脆弱性骨折)のチェックとは?
当院では、骨密度検査以外にも、胸椎・腰椎のレントゲンを撮ります。理由は、骨密度検査だけでは、診断に必要な「脆弱性骨折」を見つけられないためです。
脆弱性骨折の代表的なものとして、
- 大腿骨の骨折(大腿骨頸部骨折)
- 背骨の骨折(圧迫骨折)
があります。
骨折と聞くと痛そうに思えますが、7割の方は無症状と言われており、骨折の程度が軽いほど、ほとんど自覚症状はありません。とくに背骨の圧迫骨折は痛みがないことも多いため、「いつの間にか骨折」している場合があります。それを見つけるためにレントゲン検査を行います。
骨密度は正常でも、レントゲンを撮ってみると圧迫骨折が見つかることもあります。
圧迫骨折があれば骨粗鬆症となりますので、無症状で骨密度は正常であるにも関わらず骨粗鬆症と診断する場合があります。なぜなら、骨の量(骨密度)は正常でも骨質(構造+材質)の低下が疑われ、骨を強くする治療を開始する必要があるからです。
骨粗鬆症を予防するための「骨代謝マーカーと血液検査」
骨密度検査やレントゲンで骨粗鬆症の診断は可能ですが、今後、骨密度が下がっていく(骨がもろくなっていく)かどうかは分かりません。それを知ることができるのが「骨代謝マーカー」です。
骨は絶えず、「作る→壊す→作る→壊す・・・」を繰り返しています。この再生サイクルが乱れると、将来的に徐々に骨が弱り、骨粗鬆症になっていく可能性があります。骨代謝マーカーは、この骨の再生サイクルの乱れを知ることができます。
ビタミンD
ビタミンDは小腸でカルシウムの吸収を促進してくれる働きがあります。ご存知のように、カルシウムは骨の強度を強くするためには大事な材料になります。なので、ビタミンDが不足していると骨粗鬆症のリスクが高くなります。
ビタミンDは紫外線を皮膚に浴びることで生成されますが、普段、紫外線を避けて生活している日本人には十分な摂取が難しいのが現状です。
血液検査をしてみると、実に半数以上の方が不足状態か、欠乏症と診断されます。現に、院長の私も最近検査したところ欠乏症でした。毎日活性化ビタミンD製剤を内服し始めました。
ビタミンDの血液検査をした上で、数値が低い方は活性型ビタミンDを処方してもらうのが良いでしょう。
ビタミンK
ビタミンKは骨質に関係しており、不足すると骨質が低下します。納豆や緑黄色野菜に多く含まれ、ビタミンDと比べると不足することは比較的少ないです。当院では骨質の指標としてビタミンKの数値を判断しています。
ビタミンDと比べると足りない方は少ないですが、不足した場合は、メナテトレノン製剤を内服します。特に過剰摂取は問題になりませんが、ワーファリンを飲んでいる方は原則飲むことができません。
血中ホモシステイン、尿中ペントシジン
骨質の低下をホモシステインとペントシジンで測定することができます。※現在、保険適応ではなく、自費4000円での検査となります。
ホモシステインやペントシジンの高値は、ビタミンB6、12、葉酸、SERM製剤を4ヶ月以上投与、もしくは重症骨粗鬆症を合併するケースではテリパラチド製剤による注射治療を行うことにより改善が見込めます。
ビタミンB6
ビタミンB6はタンパク質の代謝に大きく関わっているビタミンで、不足しがちな栄養素です。
不足すると、骨質を悪くするホモシステインが増えてしまいます。
血液検査で基本的な検査項目に含まれているASTとALTを計測した場合、ASTと比べALTが明らかに低くなっている場合はビタミンB6不足が考えられます。
ビタミンB12
メコバラミンとして、神経症状に対して整形外科で昔から良く処方されているビタミンです。
近年、ビタミンB12の不足が骨質を悪くしてしまうことが分かってきています。
大阪京橋イノルト整形外科 痛みと骨粗鬆症クリニック
医師勤務日:守谷(月曜・火曜・木曜・金曜)/林(水曜)/小船(土曜)/荒川(日曜)
休診日:第3木曜日の午後、祝日、年末年始
斎藤充 丸毛啓史(2014) 慈恵医大誌
骨粗鬆症の新たな治療戦略 ―骨質評価の重要性―